全国のお菓子をリヤカーで 28歳女性が起業「信州まつもと市場」

最近、松本市街地などで、手作りの小さなリヤカーを引いている若者を見かけたことはありませんか?
「こんにちは。全国の珍しいお菓子、PRしています」
今どき、なぜリヤカーの引き売り?記者の間でも話題になったので、声を掛けてみると-。
引き売りをしているのは「Fun.」(松本市巾上)が運営する「信州まつもと市場」だ。服部好恵社長(28)が昨年12月に会社を立ち上げ、全国から取り寄せたお菓子を販売しているという。
インターネット通販などで、簡単に全国のお菓子を取り寄せられるようになった中、あえて「対面販売」を始めた服部社長。便利さにとどまらない、わくわく感も提供する狙いがあるようだ。

信州まつもと市場 「Fun.」

対面販売で元気と笑顔届ける

「信州まつもと市場」で販売しているのは、京都から取り寄せた大福(3個入り、1パック600円)、福岡の手作りワッフル(350円)、北海道のカマンベールチーズケーキ(1080円)など。常時6~10種類を扱っている。リヤカーは90センチ×40センチほどの大きさで深さは1メートルほど。女性1人でも扱える。20~30代の男女が交代で引き、家庭や職場を1軒1軒回ったり、道行く人に声を掛けたり。松本市周辺だけでなく、長野、諏訪、伊那など全県を飛び回る毎日だ。希望があれば配達もする。
リヤカーを引いていると、珍しさに声を掛ける人もいる。ベビーカーかと思ってのぞき込み、「子どもが乗っているかと思ったら、お菓子なの?」と驚くお年寄りもいる。
販売員の1人、山口舞さん(24)は「体力的にはきつい。でも、毎日いろいろな人に出会え、直接話ができることに大きなやりがいを感じている」とほほ笑む。

服部社長は静岡県出身。同県内の企業で食品の営業をしていたところ、「まだまだ有名でないメーカーやクライアントがある。それを広くPRする手助けをしたい」と模索し、レトロだけれど新しい方法として、リヤカーによる移動販売を思いついた。静岡のような地方都市を考えたところで、仕事で訪れたことのある松本市が頭に浮かんだ。
「松本のアットホームな雰囲気が好き。昔のラーメンの屋台のように来ると楽しいし、地域や家族の話題になるのではないか。スイーツを楽しむのは、だんらんの場というイメージが強いし、珍しいお菓子を食べることで、日常のスパイスになればうれしい」と服部さんは話す。
現在扱うスイーツは、10社の10品目。手に取りやすいようにと、値段も高すぎず、誰が見てもわかりやすい物を選ぶ。工場見学に出向き、試食するなど、おいしさだけでなく、企業そのものを知ることも怠らない。
隣近所との交流の減少など、人と人との関係が希薄になる中、その流れに逆行した方法ともいえるリヤカーによる移動販売。受け入れられるのか心配だったが、「おいしかった」「笑顔がすてきな人が来て、買っちゃったよ」といった声を聞いた。実際に商品を見て買いたい、販売する若者とのやりとりが楽しいという反応もあり、手応えと喜びを感じている。
移動販売だけでなく、住宅メーカーやホテルのイベントを盛り上げる手伝いなど、引き売りだけでなく、徐々に仕事の範囲が広がってきた。今後は、スイーツの種類を増やすだけでなく、スイーツの催事の開催やキッチンカーの導入なども視野に入れる。松本周辺に根差したメーカーのプロモーションの手助けをするなど、地域活性化にも一役買いたい考えだ。
服部社長をはじめ販売員も皆若く、平均年齢は26歳ほど。「社長と社員という感じではなく、チームといった雰囲気」と笑う。服部さんは「お客さんと接する時間は短いかもしれないが、コミュニケーションが生まれ、一人暮らしのお年寄りが笑ったりと、元気をプレゼントできる存在になれたらいい」と、チーム「Fun.」を引っ張る。
電話0263・87・1440
(八代けい子)

投稿者: mgpress