キッチンヤマナミがクラウドファンディングで限定復活

松本で長く愛され2012年に閉店した「キッチンヤマナミ」が、この夏、期間限定で復活する。仕掛けるのは松本青年会議所(JC)。クラウドファンディングを使っての取り組みだ。
まちづくり委員会の小林基委員長(39)と竹内隆副委員長(38)の「もう一度、ヤマナミのスパゲティを食べたい」という思いが原動力。病気で引退していたマスター捜しにも奔走した。そこに、若者が夢に向かって進み、応援する方法としてのクラウドファンディングを広くPRすることも狙う。
「有名店復活だけでなく、都会に出て行かなくても、地元で目標に向かうことができるという提案にもなればいい」と小林さんと竹内さん。大人の夢をどう実現させていくか。その姿を若い世代に見せていく。

街の活性化願い店主捜索4カ月

キッチンヤマナミは、1962(昭和37)年、松本駅前の公園通りに、マスターの安江敬昌さんがオープン。一度ゆでてから水でしめて作り置いた、ソフト麺のような太く軟らかな麺が特徴。少し甘めの自家製ミートソースは、その麺に合うようマスターが手間暇掛けたオリジナル。ボリュームの多さも好評で行列ができるなど、松本のソウルフードとも言われ、多くの人に愛された。
閉店や移転しての復活を繰り返したが、安江さんが体調を崩したこともあり、2012年に完全に閉店した。
松本JCまちづくり委員会の小林基委員長と竹内隆副委員長は、この「名店」を復活させようと、2月ごろマスターの安江さん捜しから始めた。ヤマナミがあった松本駅前の飲食店に聞いたり、移転先のビルの関係者にも聞いたりなどしたが、返ってくるのは「俺も会いたいけど、所在がわからない」「以前は年賀状のやりとりをしていたが、最近は連絡がない」といった返事ばかりだった。
手がかりがないまま、2カ月ほどがたった。「家族経営かもしれない」という思いから古い登記簿を取り、白馬村に住む安江さんの妹を訪ねることに。3日間通いようやく会えたが、あまり連絡を取っていないとのこと。安江さんの弟の住所を教えてもらい、ようやく松本市内に住む本人を捜し当てた。4カ月かけた大捜索だった。
最初は「新手の詐欺?」と疑われたというが、安江さんは「覚えていてくれてうれしい。街の活性化に役立つなら」とレシピ復活の協力を引き受けた。これまでの苦労が報われた瞬間だった。

CFで資金調達夢実現後押し

松本JCは3月、高校生や専門学生855人に、アンケート調査を行った。「夢の実現に向けて障害になるものは」の問いに、48%の人が資金がないと答えたという。1人で何かしようと頑張るよりも、たくさんの人の支援を集められるクラウドファンディング。小林さんたちは、若者の夢の実現のために、この仕組みをPRしようと考えていた。
「松本で愛された店の復活と若者の夢の実現支援が今回の企画の2本柱。夢を諦めたり、夢を求めて都会に出て行ったりする若者が増える中、クラウドファンディングで夢をかなえる実績を伝えたい」と小林さんたちは力を込める。

クラウドファンディングのサイトに7月2日、募金額95万円を目標として「スパゲッティのヤマナミ」復活プロジェクトを公開した。8月16~27日に松本市中央1の花時計公園で開く「松本サマーフェスト」に出展予定で、95万円は出展費、材料費、調理器具レンタル費などに充てる。1口3000円から募金できる。協力者には金額に応じ、今回開発したヤマナミ特製のスパゲティソースのレトルトパック、ロゴ入りの皿、フォークが贈られる。
本番に備え、試作と試食を重ねている毎日だ。小林さん、竹内さんは「公園通りにあったヤマナミに通った最後の世代。ブログなどにも、『もう一度食べたい』という書き込みを見かける。自分たちもわくわくしながら取り組んでいる」と話す。
サマーフェストでは、ナポリタンとスパゲティヤマナミ風を計1500食提供する予定。プロジェクトの詳細は、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」ヤマナミで検索。
【メモ】
クラウドファンディング インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める仕組み。この仕組みを紹介するサイトに、事業者の計画を紹介。支援する人は1口数千円の単位から出資できる。出資額に応じて、商品を贈られたり、サービスを受けられるようになる。
(八代けい子)

投稿者: mgpress