元気な70~80代 廃物で操り人形作り

身近にあるペットボトルやビー玉、木箱、古着を、操り人形に変身させている野々香の会(松本市横田4)。メンバー7人は70~80代とおばあちゃん世代だが、「まだまだ元気」。廃物を工夫して人形作りに取り組むほか、子どもたちの情操教育につなげたいと、既存の小説や童話に登場する人物の人形を作り、オリジナル脚本での上演にも挑戦している。
20日~8月10日、梓川アカデミア館(同市梓川)で「山椒(さんしょう)大夫(安寿と厨子王物語)」展を開く。人形16体、船2そうで平安朝の風俗と親子の情愛の物語を伝える。
夢はさらに広がり、1、2年後にはオペラの「蝶々(ちょうちょう)夫人」を人形劇でできるようにと準備中だ。オペラの歌を歌いたいという“野望”も。パワーの源はどこに?

施設などで人形劇披露

人生90年時代とも100年時代とも言われる。「私たちも何かしないともったいない」と、野々香の会は2014年3月から活動をスタートした。代表は近藤佐智子さん(84、安曇野市三郷)。丸山晴子さん(82、松本市横田6)、柳澤珠子さん(83、同)、加納八重子さん(85、安曇野市豊科)、平沢玲子さん(71、同市穂高)、小林秀子さん(75、松本市岡田)、福沢きぬ代さん(72、同市元町)の計7人だ。
以前、近藤さんらは緑化のための1円玉募金の活動を20年ほど続けたが、09年に一段落。しばらく活動を休んでいたが、近藤さんが革のバッグ、ペットボトルなどを使って操り人形の魔女を作った。それを見て、「やってみたい」と4人が手を挙げ、野々香の会が誕生した。しばらくしてもう2人が加わった。
ペットボトルは、頭部と胴体、木箱は背骨や手足、操り用の手板に、毛糸は頭髪、ボタンやビー玉は目─と、いろいろな物を適材適所に使い分ける。最初は体長80センチほどの人形を作っていたが、年を取るとともに重くて操作しにくくなり60センチほどに軽量化するなど改良を重ねた。「赤ずきん」「マッチ売りの少女」「さるかに合戦」など50体以上を完成させ、高齢者施設や保育所で人形劇を披露してきた。
昨年3月には3周年を記念して、中町蔵シック館で森●{匡の王が品、右に鳥}外の小説を人形劇にした「山椒大夫」を初めて上演した。自分たちで作ったオリジナル脚本に沿って、人形を動かさなくてはいけない。糸の数は手、足、首など平均10本あり、録音したせりふに合わせて人形を動かすのは予想以上に難しく、間違えることも。舞台装置も手作りし、「本当に大変だった」とメンバーは振り返る。

20日から展示「山椒大夫」

今回展示するのは「山椒大夫」の、安寿、厨子王、母、人買いの老婆─など16体。「芝刈りの男」は男物のじゅばんを使って衣装は何度も縫い直し、顔を怖そうにしている。「平安時代の風俗に合うように、役柄に合うように考えながらの作業。背負子(しょいこ)は、たこ糸、本物の木の枝を使うなど工夫した」と近藤さん。
母子3人とばあやが旅をしている様子など4場面を展示する。近藤さんは「(廃物利用の)人形は、モフモフした縫いぐるみと触れた感触が違うし、人の形をした人形は粗末にできないでしょう。人形と触れ合うことで、情操教育にもつながるのではないか。親と子の情愛がテーマなので、夏休みにぜひ、親子で見に来てほしい」と力を込める。今回は展示のみだが、希望があれば「どこへでも行って上演します」。

蝶々夫人へ挑戦は続く

操り人形を作るのはもちろん、動かすのも素人という集団ながら、挑戦はこれからも続く。現在は、オペラの「蝶々夫人」をテーマにした人形を制作中だ。「髪は、ネットに毛糸を1本1本差し込んで、頭に貼り付ける。日本髪を結うのは本当に大変」。13か14体作るといい、1、2年後の上演を視野に入れる。「上演まで考えると息が上がってハアハアしている人もいる。でも、オペラの曲を歌いたいという人もいる。上演できなければ、展示だけでもしたい」と近藤さん。
「次の世代を担う子どもたちの心に残すことができたら」。こうした思いを胸に頑張っている。
午前9時(初日は午後1時)~午後5時(最終日は正午)。観覧無料。月曜休館。梓川アカデミア館電話マーク78・5000
(八代けい子)

投稿者: mgpress