【なないろキッズ】 #5 気づきにくい限局性学習症

今回は「限局性学習症」についてです。
限局性学習症とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「読む」「書く」「計算する」など特定の分野の学習においてのみ非常に大きい困難がある発達障害の一つです。学習障害(LD)とも呼ばれています。
全般的な知能が低いわけではないので、困難さがあることに気づかれにくく、「宿題をさぼる」「板書をしない」というふうに「怠け」とみなされ、叱責(しっせき)され続けていることもあります。また、他児よりも一層の努力を重ねることで、同じ課題をこなして何とかカバーしているお子さんもいます。
それでも学年が上がるにつれて努力だけではカバーしきれなくなり、「自分はばかだ」「勉強ができない」と自己卑下してしまったり、学習に対する苦手意識を根深く持ってしまい、ついには学校に行きづらくなったりするお子さんも少なくありません。
学校生活において、「学習」が占める比重は非常に大きく、特定の分野の苦手さ以外には十分な能力を持っているぶん、より「うまくいかない感」を強く持ちやすく、診断にたどり着くころには「自分はダメな人間だ」と思い詰めてしまっているお子さんもいます。
限局性学習症は「学習できない人」ではなく、学習方法のタイプが違っていると考えましょう。本人の特性に合った学び方をすることで、「自分にもわかる」という経験を重ねることが大切です。
例えば「書く」ことが苦手なら、「書く」量を減らしてタブレット教材を使うなどといったことも選択肢の一つです。今どきはPCやスマートフォンも普及し、音声入力システムの質も向上しています。大人になれば漢字が書けない人はたくさんいますよね。
漢字が書けるようになることにこだわらない学習の方法を選んでいくこともできるのです。