信大病院菅智明准教授に聞く逆流性食道炎

食事や生活習慣意識して

かつては高齢者に多かったが、最近は若い人にも増えているという「逆流性食道炎」。症状や治療、予防法などについて信州大医学部付属病院(松本市旭3)内視鏡センターの菅智明准教授(50)に聞きました。

-逆流性食道炎とは
胃の中にある胃酸が食道に逆流することで起きる病気です。食道は胃酸に弱いため、逆流すると炎症が起きて胸焼けがする、酸っぱいものが喉元にこみ上げてくる、といった症状が出ます。
-原因は
胃の入り口が緩く開いた状態「食道裂孔ヘルニア」になると逆流が起こりやすくなります。加齢で背中が曲がっておなかを圧迫する、肥満で腹部に肉が付いて腹圧が上がる、といった体形の変化があると食道裂孔ヘルニアが多くなる傾向があります。
また、もともと日本人はピロリ菌の感染率が高かったのですが、近年は大幅に減少。特に若者の罹患(りかん)率は低く、中年でも除菌している人が増えています。ピロリ菌に感染した慢性萎縮性胃炎(胃酸の少ない状態)の日本人は減り、未感染のきれいな胃(胃酸の多い状態)の人が増えているのです。
ピロリ菌を除菌して慢性胃炎、胃潰瘍などが改善し、胃がんを発症するリスクが下がる一方、逆流性食道炎になる人は増えています。
-診断、治療は
逆流性食道炎を疑う症状があれば、病院を受診して内視鏡(胃カメラ)検査を受けることをお勧めします。食道がんがないことを確認するためにも必要です。
症状が軽い場合には、生活習慣を変える(=予防法を参照)ことで改善しますが、症状が強い場合や内視鏡で重症と判断された場合には、胃酸の分泌を抑制する薬を内服します。
通常、薬の効果はすぐに出ますが、逆流する原因(背中の曲がった姿勢、肥満、悪い生活習慣など)が残ったままで薬をやめると再発しやすいです。
-予防法は
食事は消化の悪い物を控え、よくかむこと。腹八分目を意識し、寝る2、3時間前は食べない方がいいでしょう。食事内容としては、脂っぽい食事やチョコレート、アルコールは逆流を増加させ、喫煙も逆流を悪化させることが分かっています。胃の中の物を早く十二指腸に送り出すためには、食後すぐ横になるのは逆効果で、良い姿勢で軽くウオーキングすることをお勧めします。
寝る時の姿勢も重要です。左下横向きやベッドの頭側を高くした姿勢では逆流が減り、仰向けや右下横向きでは逆流が増加することが分かっています。
-逆流性食道炎と食道がんの関連は
食道がんの一種「バレット食道がん」は、逆流性食道炎で炎症を起こした所と同じ場所にできます。逆流性食道炎を繰り返すことで、食道粘膜が異常な粘膜に変化し(バレット食道)、そこからバレット食道がんが発生すると考えられています。日本人の食道がんのうち5~7%がバレット食道がんですが、今後増えていく可能性があります。
「胸焼け」は、不摂生をしていることを知らせる危険信号です。胸焼けが出ない生活習慣を心掛けることが大切で、症状のある方は40歳頃までに内視鏡検査を受けることをお勧めします。
(八代けい子)

投稿者: mgpress