県立こども病院総合小児科副部長 南希成医師に聞く 大人の風疹 感染防ぐには

妊婦感染胎児にリスク
首都圏を中心に7月以降、大人の風疹患者が急増し、全国的な感染拡大が懸念されています。最大の問題は、妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに障害が出る恐れがあることで、それを防ぐ鍵は、「患者の多くを占める30~50代の男性にある」と関係者は言います。県立こども病院(安曇野市)総合小児科副部長で、感染症が専門の南希成医師(47)に聞きました。
-風疹はどんな病気ですか
風疹ウイルスによって起こる感染症です。かつては子どもの間ではやりましたが、ここ20年ほどは国が予防策を強化して子どもの患者は減り、むしろ大人の病気になってきています。
主な症状は、微熱や全身の淡い発疹、首のリンパ節の腫れなど。風邪など他の病気と似ていたり、明らかな症状が出ない人もいたりして、流行しなければ認識されにくい病気です。
風疹患者の唾や鼻水から感染し、潜伏期間は2~3週間。インフルエンザよりも強い感染力がありますが、現在は免疫を持つ人が大多数のため、インフルほどの流行にはなりません。
しかし、近年では2012~13年に大流行。その後落ち着いていましたが、今夏は首都圏を中心に感染者が急増し、県内でも確認されました。これからさらに大きな流行になる可能性もあります。
-風疹にかかるとどうなりますか
個人差はありますが、症状は全て一過性で予後は基本的に良好です。特別な治療法はなく、一般的には症状を和らげる対症療法です。
ただし、妊娠中の女性が感染すると、胎児もウイルス感染してしまい、「先天性風疹症候群」(CRS)と総称される病気や障害を持って生まれる恐れがあります。
妊娠前半期(20週)までに母体が感染すると、出生児の50%ほどにCRSが見られ、流産に至るケースもあります。CRSの症状の多くは難聴で、目や心臓の障害を伴う場合もあります。12~13年の流行によるCRSの報告は、全国で45例ありました。

30~50代男性は予防を

-有効な予防法は
免疫のない人にワクチン接種をして免疫をつけること。風疹はワクチンで予防できる感染症です。
1回接種すれば95%の人は抗体ができ、2回接種で99%の人が獲得できるとされます。2回打てば、一生の予防効果が得られると考えてよいでしょう。
これから妊娠を考えている女性は、制度的には1回以上のワクチン定期接種を受けている世代ですが、免疫の有無が心配なら抗体検査を受けてチェックしてください。ただし、ワクチン接種後2カ月間は避妊が必要です。妊娠中の接種もできません。
風疹ワクチンの定期接種は、1977(昭和52)年から中学生の女子のみを対象に始まりました。しかし、流行は防ぎきれず、社会全体での予防の必要性が求められ、95年4月からは生後12カ月以上90カ月未満の男女に実施されるように。現在は小学校入学までに男女とも2回の接種を行います。
-近年の流行では感染者の多くが30~50代の男性。なぜですか
この年代は、ワクチン定期接種の対象外であったため免疫のない人が多いからです。流行拡大の温床ともいえるこの世代の予防対策はとても重要です。
妊娠中の妻やパートナー、姉や妹、職場の女性など身近な女性を感染から守るため、ぜひとも予防意識を高めてください。
接種歴や罹患(りかん)歴を、母子手帳などで確認しましょう。ワクチンは2回以上打っても体に問題はありません。風疹の罹患もワクチン接種歴もはっきりしない場合は、ワクチン接種をお勧めします。
前回の流行では、大多数の人が職場で感染しています。自分自身の症状は軽く済んでも、生まれてくる命に障害を負わせてしまうリスクがあることを強く認識してください。
「風疹をなくそうの会『handinhand』」などのCRS患者会の活動にも目を向けてほしいです。
-抗体検査やワクチン接種の費用は
抗体検査は数千円、ワクチン接種は1回数千円から1万円(診察、手技料含む)程度の自己負担になります。まずは内科で相談してください。
条件付きになりますが県保健福祉事務所の抗体検査(無料)や、ワクチン接種に補助を出す自治体もあります。
(青木尚美)

投稿者: mgpress