家族葬の心得は 「エンディングハウスあかり」大橋勇一さんに聞く

近親者だけで行う葬儀「家族葬」が近年、松本平でも増え、一般葬の数に迫る勢いという。近しい人とゆっくりお別れができるなどの良さがある一方で、「簡単」「安い」などの思い込みから安易に選び、トラブルにつながるケースもあるという。家族葬に多い誤解や注意点などを、小規模葬・家族葬専門「エンディングハウスあかり」(松本市筑摩1)の葬祭ディレクター大橋勇一さん(52)に聞いた。

「簡単」「安い」は勘違い

◆誤解
「友人も呼んでいいんですか?」。われわれがご相談を受ける中で、お客さまからよく聞く言葉です。家族葬という言葉から「家族・親族だけで行うもの」と思われがちですが、実際は友人や近所の方など、家族以外の方もお呼びしてかまいません。
家族葬とは「家族が会葬者を限定して呼ぶ葬儀」です。ちなみに、当社が執り行う葬儀のほとんどは会葬者が20人以下です。
葬儀が簡略化できるとの思い込みも多いですが、葬儀は葬儀。宗教儀礼は一般の葬儀とまったく同じです。
一番多い誤解が「費用を安く済ませられる」というもの。もちろん、葬儀にかかる総額は一般葬の半分以下で済む場合がほとんどです。しかし、会葬者が少ない分、香典収入も少ない。施主側の持ち出しが増える場合もあります。
◆注意点
家族葬では、葬儀に参加できる人とできない人が出てきます。親族ですら限定される場合があります。事前、事後の対応をしっかり行うことが欠かせません。
まず、親族には前もって家族葬で執り行う意思を伝え、理解を得ておくことが必要です。言葉で伝えるだけでなく、遺言状など書面に残しておきましょう。故人の遺志と分かれば、トラブルは起きにくいと思います。
葬儀を終えたら、葬儀にお呼びしなかった方へあいさつ状を送り、家族葬を行ったことを報告し、失礼をおわびします。この報告を怠ると、葬儀後しばらく弔問客が家を訪れ、対応に追われます。
あいさつ状の中では弔問やご香典をお断りする旨を伝えますが、それでも弔問にいらっしゃる方やご香典を送られてくる方はいます。その場合は、お気持ちを大切に受け止めて対応し、香典返しをお渡しします。
家族葬は事前にも事後にもやるべきことが多く、ある意味大変です。それでも間違いなく近い将来、その数は一般葬を上回るでしょう。なぜなら、家族葬は納得のいく、後悔のない葬儀になることがほとんどだからです。

最後の別れゆっくりと

◆利点
家族葬が支持される大きな理由は「故人とゆっくりお別れができる」ということだと思います。これは私自身の経験からも言えます。
私は30代前半で父の葬儀を出しました。まだ今の仕事に携わる前のこと。何も分からず、葬儀社に全てお任せしました。
「失礼があってはいけない」と、そればかり考え、精神的に追い詰められました。参列者も誰が誰だか分からない状態。父が亡くなった直後からさまざまな対応に追われ、悲しむ暇もありませんでした。
その経験から、母の葬儀は生前に母親と話し合い、家族葬にしました。お呼びしたのは12人。親戚も半分に絞らせていただきました。
会葬者から香典はいただかず、逆にこちらから食事とお礼の品を振る舞わせていただきました。近しい方にゆっくりと最後のお別れをしていただきたかったし、こちらの感謝の気持ちもしっかりと伝えたかったのです。
自己満足かもしれませんが、本当にいいお葬式になったと思っています。
おそらく家族葬を選ぶ方々の中には、私と同じようなことを求め、同じような気持ちになる方もいらっしゃると思います。
家族葬の場合、おおよその費用が事前に分かるので、「一体いくらかかるのか」と不安になることはありません。葬儀費用を事前に準備し、穏やかな気持ちで余生を過ごせるのも良いところです。
◆大事なこと
お付き合いの広い方などは、家族葬にするとかえって大変になってしまう場合もあります。家族葬と一般葬、どちらがいいのかも含め、事前に葬儀社と相談し、準備をしましょう。家族葬と一般葬、両方の見積もりを取っておくことも大切です。
(松尾尚久)

投稿者: mgpress