終盤戦をどう戦う? J1昇格レジェンドに聞く

J2リーグは残り7節の大詰め。暫定首位に立つ山雅だが、J1昇格プレーオフ(PO)出場圏内の6位までが勝ち点6差内にひしめき、上位は混戦だ。来季4年ぶりのJ1復帰に向け、終盤戦をどう戦うか。2014年シーズン(2位)に選手としてJ1昇格に貢献したクラブアンバサダー鐡戸裕史さん(36)と、パーソナルメンタルサロン「コラソン」(松本市)代表の飯尾和也さん(38)に、今後の展望などと併せて聞いた。

鐡戸裕史さん 「強み」を再確認して貫け

-上位を中心とした最終盤の展望は。
混戦模様のまま最後までもつれるのでは。37節の町田-大分(14日)、38節の横浜FC-大宮(21日)など、上位同士の対決くらいでしか差がつかない気がする。
個々のチームを見ると、現在7位の大宮が怖い。シーズン前半は中~下位で苦しんだが、ようやく本来の力を出しつつある。16年終盤にすさまじい追い上げを見せた清水を思わせる。
町田、大分は戦う集団としてまとまりがある。試合運びも安定し、ここから失速するとは考えにくい。横浜FCもイバとレアンドロドミンゲスを軸に、チームがうまく機能している。
PO圏外ではあるが、徳島も要警戒だ。夏の補強も効いてシーズン後半は2敗しかしておらず、勢いがある。
-山雅の展望は。
ホームで行う40節・東京V戦(11月4日)で自動昇格決定、最終節の徳島戦(同17日)で優勝決定|となれば盛り上がるが、難しい相手ばかりで、さすがにそうはいかないだろう。
アウェーの39節・大分戦(10月28日)がヤマ場になるのでは。片野坂監督が就任3年目でチームが成熟し、シーズン当初から安定感がある。16年はJ3も経験するなど苦しんできただけに、J1復帰の思いは強いはず。
38節で対戦(同21日)する岐阜は下位だが、山雅はいつも苦しめられる。単純に順位で力を量るのは禁物だ。
-今後どう戦うべきか。
重圧や焦りなどは当然出てくるが、それらに惑わされないこと。走力や攻守の切り替えの速さといった自分たちの強みにもう一度立ち返り、ぶれずに貫くことが大事だ。
その上で、強い気持ちや団結力を持つ。拮抗(きっこう)した試合で勝負を決める一瞬や一歩をものにできるのは、気持ちで上回った方。そのためにも、目の前のやるべきことや日々の練習に全力で取り組むこと。努力の積み重ねが自信となり、気持ちを支えてくれる。
どれだけ頑張っても、得失点差で涙をのんだ16年のようなこともあり得る。「絶対に報われる」と言い切れないのはつらいが、選手は首位にあぐらをかかずに危機感を持って練習し、チーム内によい緊張感がみなぎっている。心配はしていない。
14年は2位で昇格し、16年は惜しくも2位を逃したが、僕は優勝する機会を得るための伏線だったと考えている。戦い抜いて優勝してほしい。

飯尾和也さん 重圧をプラスにできるか

-最終盤の展望は。
混戦は意外とは思わない。今季のように終盤までもつれる展開が、昇格争いの本来の姿では。3試合を残して昇格を決めた14年は出来過ぎだった。
大宮や福岡は、J2では抜きんでた戦力を持ちながら個に頼る部分が少なく、組織としての力に重点を置き、安定したサッカーを見せている。もっと上位に来てもおかしくない。また、シーズン当初から手ごわいと思っていたが、徳島と東京Vの後半戦の勢いには目を見張るものがある。
-山雅の展望は。
暫定とはいえ、自動昇格圏外の3位と勝ち点で4離れているのがポイント。1試合ならしくじっても順位が逆転することはなく、余裕と緊張感を合わせ持って試合に臨めるからだ。差を広げて早く2位以上を確定させるのに越したことはないが、“勝ち点4差”をどこまで維持できるかかが大きいのではないか。
今年から事実上の入れ替え戦が復活し、PO経由での昇格が難しくなったこともあるが、選手も監督もPOのことは考えていないはず。目標はあくまで自動昇格、あるいは優勝。僕が選手でもそう考える。
-今後どう戦うべきか。
僕が選手なら、39節の大分戦や最終節の徳島戦など「大一番」と目されそうな試合で、昇格が懸かる状況にはなってほしくない-というのが正直なところ。プレッシャーが大きく、特に守備陣は一つのミスが失点に直結するため、ネガティブな思考に際限なくとらわれてしまうこともある。
ただ、僕が01年に所属した当時J2の仙台は、昇格争いが最終節までもつれて「勝つしかない」という厳しい状況だったが、何とか勝つことができた。
終盤戦になるとプレッシャーがつきまとい、大なり小なり不安を感じない選手はいない。いくらよい準備をしても、やってきたことを試合で発揮できなければ意味がない。個人もチームも、重圧をいかにプラスのエネルギーに転換できるかが大事だ。
反町監督はそれをよく知っており、試合前やハーフタイムには、相当吟味した言葉を選手に掛けているはず。どれだけ大勝しようと、1試合で勝ち点を5も10も得られるわけではない。他チームを気にするより自分たちのプレーに集中し、着実に勝ち点を積み上げていくだけだ。
(長岩将弘)

投稿者: mgpress