寿一番星倶楽部がオリジナル日本酒

松本市寿台公民館「利き酒講座」受講者などでつくる「寿一番星倶楽部(くらぶ)」は、オリジナル日本酒「寿一番星」を造り、「日本酒の日」の1日に発売した。
寿台地区の住民が高齢化して人口が減る中、日本酒による地域文化の振興を目的に、地元の酒を造ろうと2009年に取り組み始め、今回が第5弾。倶楽部のメンバーや地区住民などでつくる農業倶楽部「千歳屋」が、安曇野市三郷の田んぼで栽培した一等酒米を使用。笹井酒造(松本市島内)に醸造を委託し、昔ながらの製法で造った。
出来上がった酒は皆で味わったり、地域の「ハレの日」に登場したり。地区外にはなかなか出回らない、知る人ぞ知る宝だ。地域の人と人を結びつける役割も期待されている。

寿一番星倶楽部 松本市寿台
日本酒造りでつなぐ地域の縁

信州らしい酒

オリジナル日本酒「寿一番星」は、無農薬栽培の酒米「ひとごこち」を使った純米原酒。精米歩合は65%、無加圧袋吊(つ)るしの製法で造るなど、手間暇かけた逸品だ。今年の春に完成し、夏越しをして熟成させた。
寿一番星倶楽部メンバーで、講座の講師も務めた利き酒師の吉村結城子さん(38)は「バランスが良く、米のうま味が生きた信州らしいお酒。力強くこくはありつつ、引けがいいので食事に合う」と、その仕上がりに太鼓判を押す。少し冷やしたり、ロックで飲んだりするのがお薦めという。
9月25日は、寿台ふれあいセンターで「皆で味わう会」を開催。「おいしいね」「香りがいい」など、32人が今年の酒を口にした。酒好きな人はもちろん、それほど飲めなくても、皆の顔が見たい、話がしたいと集まる人もいる。安達隆洋さん(81、寿台4)は「雑味もなくまろやかでおいしい。好きな人が集まって飲んで楽しむ。交流を図るのに、とてもいい」と満足そうだ。

町のスターに

「利き酒講座」は2008~13年に開催。08年の講座で酒蔵見学をしたり、日本酒文化を学んだりした中、「自分たちで日本酒を造ってみたい」という声が上がった。09年に安曇野市三郷にある吉村さんの祖父の田んぼで酒米「美山錦」を栽培。10年に第1弾を発売した。
名前も公募し、「町をいつまでも明るく照らす、スターのような存在であってほしい」という願いを込め、同地区の奥野征勝さんが名付けた。米作りの年の翌年に酒造り|と、2年に1回醸造し、2回目からは「ひとごこち」を使っている。

人の輪再構築

寿台は昭和40年代に県企業局が住宅地として造成、1970(昭和45)年に入居が始まった。78年には人口約6300人とピークを迎えたが、少子高齢化などで今年10月1日現在で約2900人と半分以下になり、空き家も目立つようになった。65歳以上の人は41%で、高齢化率は松本市内35地区のうち4番目だ。
新たに開発した住宅地のため地縁血縁が薄く、人と人のつながりは希薄になりがち。さらに一般の住宅と市営住宅が混在しており、それぞれの住民の地域に対する思いに温度差があるのも課題という。新たな人間関係を紡ぐ企画の一つが、利き酒講座だった。
「お酒はいろいろな人が一緒に楽しめ、盛り上がれる。日本酒文化を学びながら、絆を強められたらいいと思った」と吉村さん。日本酒がワインや焼酎に押されたころで、「日本酒離れを食い止めたい」という思いもあったという。

世代性別超え

地元の米と水を使い、地元の酒蔵で醸す。そうした日本酒は究極の地産地消だ。オリジナル日本酒が地域の縁をつなぐ。「忘年会を開こう」「たまには一緒に飲もう」という声も聞こえるようになり、その中心にあるのは寿一番星。吉村さんは「世代や性別を超え、集まる機会が増えたと感じる」と話す。
720ミリリットル1260円(以下税別)、1・8リットル2560円。小池酒店(寿台2)、高山酒店(寿豊丘)、北原酒店(大手2)で取り扱う。「売り切れるので、早めにどうぞ」と吉村さん。
寿一番星倶楽部電話0263・58・0201
(八代けい子)

投稿者: mgpress