ゾンタクラブ会員の多田さん 戦争体験を基に絵本が完成

戦時中の貴重な証言

松本ゾンタクラブ会員、多田初美さん(86、松本市横田1)の戦争体験を基にした絵本『はっちゃん』が完成した。爆撃機から機銃掃射を浴び、九死に一生を得たことなどがつづられた貴重な「証言」。仲間と共に作った手作りの絵本だ。
多田さんは、女性の地位向上を目指す世界的な社会奉仕団体・国際ゾンタ松本ゾンタクラブの立ち上げ(1995年)に尽力し、現在も活動を続ける。その仲間から、子ども時代の体験などを書くよう勧められ、「回想録」をまとめた。
これを読んだ同会員で中信美術会会員の小松宏江さん(77、同市城東1)が「内容が面白いから絵本にしたら」と提案。絵本向けに文章を手直しし、内容に合った絵を15枚描いて8月末、完成にこぎつけた。
はっちゃんは東京・千駄ケ谷に生まれ、父母らと幸せな生活を送っていたが、1941(昭和16)年に太平洋戦争が始まり生活が一変。10歳のころ、純綿の反物を持って農家へ行き、米や芋などの食糧と換えてもらった。
東京の女学校へ通う道では爆撃機から機銃掃射を浴び、無我夢中で石垣にへばりついた。「足元の土にプツプツと穴が開いていました」。疎開先の松本では、学徒動員で飛行機に付ける補助タンクを作る作業に従事-。
絵本は、祖母や母、妹の死を含め終戦までの激動の少女時代を、分かりやすい言葉で描写している。
多田さんは「文は自分が体験したことを思い返して一生懸命書いた。(小松さんの)絵には、お母さんの姿や機銃掃射を受けた時の様子が、そっくりそのまま描かれていて、涙が出た」と話す。
『はっちゃん』はB5判、20ページ。120部を印刷し友人らに配った。残部が若干あり、希望者に無料で提供するという。問い合わせはMGプレス編集室(電話0263・32・1139)へ。
(矢﨑幹明)

投稿者: mgpress