元保育士のメンバーが松本市へ実感込めて質問

保育士不足働く環境の整備を

保育所の待機児童問題に続き、イクトモのメンバーは、保育士不足の問題について松本市こども部に聞きました。保育士として県内で働いていたメンバーの藤原里絵が実感を込めて質問し、伊佐治裕子こども部長、高橋浩道保育課長が答えてくれました。(敬称略)

短時間パートの導入やICTで効率化目指す

Q 松本市として、保育士不足の原因はどんなことだと考えていますか?
伊佐治保育士も働く母親であるのに、保育園の預かり時間が長くなり、働く環境が厳しくなっていることがあると思います。例えば、土曜日も通常保育を希望する人が全体の6分の1から7分の1います。また、保育計画を作るといった事務仕事が多いけれど、職場のパソコンの台数が少なく、使いたい時間も子どもたちが帰った後などに集中するため、仕事を持ち帰らなければならないと聞きます。職場の環境を整えなければなりません。
高橋保育士の働く環境を整えるために具体的に取り組んでいることがあります。一つは、今年4月から始めた1日4時間までの短時間パートの導入です。例えば、午後のお昼寝から降園までの時間、短時間パートで補助者が入れば、その間に担任の先生は事務仕事ができるので、仕事を持ち帰らないようにできます。
二つ目は、ICT(情報通信技術)を取り入れた業務の効率化です。さくら保育園(出川1)で8月中旬から実証実験をしています。※
伊佐治松本市ではB型肝炎の抗体検査と予防接種費用の補助を、短時間パートも含めた希望する全職員に行っています。保育士は、園児が鼻血が出たからといって手袋を取りに行ったりはしませんよね。B型肝炎の感染リスクは高いので、地味なことですが大事です。全国的にも珍しい取り組みだと思います。

給与水準県内2位 家庭との両立支援

Q 保育士確保にはどのように取り組んでいますか?
高橋松本市の保育士の数は現在、育休中の人を除いて、正規職員220人、嘱託職員219人、パート約600人です。新しい保育士の発掘は、これまでは園長が人のつながりで探すことが多かったのですが、今は市が直接ハローワークに行って求人を依頼しています。(働いていない保育士資格保有者を登録して復帰につなげようとする)県の「保育士人材バンク」にも登録していますが、保育士の確保にはつながっていません。
Q 松本市の保育士の賃金はどれくらいですか?ほかの市町村に比べてどうですか?高橋正規職員の初任給は大学卒が17万9200円、短大卒が15万9800円で、給与は年々上がっていきます。嘱託職員の初任給は17万3200円で、6年目と9年目で昇格します。保育士の給与水準は県内では駒ケ根市に次いで2位の高さです。
Q 保育士の復帰には、自分の子どもの行事と保育園の行事が重なるなど、家族への負担を気にする人が少なくありません。複数担任制など休みやすい態勢づくりなどの支援はできませんか?
伊佐治ベテラン園長にすれば、私たちはそういうことを諦めてきたと言うかもしれませんが(笑)。今はそういうわけにはいかないです。入卒園式や運動会など大きな行事を休むのは難しいですが、それ以外は園の中で融通してもらうようにしています。
保育環境の整備は一番大事ですが、より子育てしやすいようにどの職場も変わっていく必要があると思います。

※さくら保育園のICT実証実験 業務省力化市が導入検討

8~10月で実施中。学年ごとに部屋の入り口に置いたタブレットに表示される名前にタッチすると、園児の登園、降園の時刻が記録される。保護者のスマートフォンに専用のアプリを入れ、休みなどの連絡を園にすることができるほか、子どもの写真をアプリ上で注文することなどもできる。休園などの電話連絡、延長保育の時間や料金の管理、写真の注文、配布や集金など、保育士の業務が省力化できるかを実験中。保護者の意見も調査し、松本市が今後の導入を検討する。

〈取材を終えて〉記事きっかけになれば

今すぐに待機児童の問題を解決してほしいというお母さんたちの切実な声を取材して、胸が痛みました。松本市に聞くと、施設をすぐに増やすのは難しく、今、困っている人への対応ができないことが分かり残念でした。一時保育の予約方法だけでも見直し、より多くの人が利用できるようにしてほしい。今後もたくさんのママたちの声を聞いて、早い対応をしてもらいたいと思います。(本庄みどり)

結婚するまで保育士として勤務していたので仕事の過酷さは経験しています。子育て中の今、当時と同じことができる自信が無く、保育士復帰の選択はありませんでした。松本市の話を聞いて、数時間のみのパート保育士の起用など働き方改善にかなり力を入れていることが分かりました。これなら保育士復帰もありかもと感じました。大変さだけが注目されてしまう保育士ですが、未来ある子どもの成長を近くで感じられるとてもやりがいのある仕事です。今回の記事がきっかけで、資格を生かしてみようかなという保育士が出てきてくれたらうれしいですね。(藤原里絵)

投稿者: mgpress