【なないろキッズ】 #9 大人になるまでに分別も

赤ちゃんの頃から元気過ぎるA君。市の発達センターで発達検査を受け、「注意欠如多動症(ADHD)」と診断されました。
両親は担当医師から「幼児期は『いのち』を大事に!最低限の安全確保ができれば十分、くらいのつもりでいきましょう!!」と言われ、少し開き直りました。今までは躍起になって“おりこう”にしつけようとしましたが、「今は無理ですよ。大人になるまでにそれなりに分別がつくようになりますから」と担当医は言いました。
小学校入学後、45分間じっと席に座って授業を受けることは難しく、特別支援学級を使い、自分のペースで学習・生活を続けました。担任の先生と相談して、授業中にプリントを配るなど動ける役割を担って気分転換したり、課題を終えたら図書館に行ってもOKなどA君だけのルールを作ったり。
厳しい担任に当たった年は学校生活が窮屈になり、イライラして同級生とぶつかり、時には取っ組み合いのけんかになったり、怒って学校を飛び出してしまうようなことも繰り返しました。
発達センターに定期通院し、服薬したり、学校生活の相談をしたり、ソーシャルスキルを学ぶグループ活動に参加したりしました。
飽きっぽく、習い事などは続かないA君でしたが、6年生の夏休みに参加した子どもロボット教室で開眼し、中学ではロボット製作に熱中しました。得意な数学、理科を中心に勉強も頑張り、工業高校に進学。この頃には、自分の飽きっぽく、思い付きで行動して失敗も多いけど、興味を持ったことには猪突猛進に行動できるという特徴も自覚し、徐々に行動を自己コントールできるようになってきました。
今も忘れ物やなくし物は多く、周囲と口論してしまうことも多々ありますが、ユニークでさっぱりしたA君らしさが理解されるようになり、ご両親は安心しています。