信大医学部保健学科伊澤淳教授に聞く 朝に注意脳心血管病予防

朝夜に血圧を測る習慣を

これから寒くなる季節に増える「脳心血管病」。突然襲う怖い病だが、どのようなことに気を付ければいいのか。松本市の信州大医学部地域保健推進センターと公益財団法人信州医学振興会が、信大医学部保健学科の伊澤淳教授(48)を講師に開いた健康講座「寒い“朝”に注意!秋から増える脳心血管病の予防」を取材し、要点をまとめた。

★脳心血管病とは
心筋梗塞や狭心症、心不全などの心疾患と、脳卒中などの脳血管疾患、そして動脈硬化による血管の病気をまとめて「脳心血管病」という。
日本人の死因の第1位はがん、2位は心疾患、3位は肺炎、4位は脳血管疾患。脳心血管病は全死因の4分の1を占めていて、その割合は男女とも70歳以降増えている。
急性心筋梗塞による月別死亡数は例年、秋から冬の寒い季節にぐっと増える。時間帯は、脳卒中は午前6時ごろから急上昇し、心臓突然死は日の出から午前中に多い。
★死亡に影響する要因(危険因子)
1位は喫煙、2位は高血圧、3位は運動不足。以下、高血糖、高い食塩摂取、飲酒と続く。この危険因子が大きく影響するのは心血管病だ。脳血管疾患は、要介護となる原因の第1位だ。
世界的には心血管疾患が全死因の1位で、その88・5%に危険因子が影響していた。この数字は、危険因子をコントロールすれば死なずに済んだ、ということを意味する。
★脳心血管病の予防
生活習慣の管理と、危険因子を持たないようにする「0次予防」が大切だ。
心血管病に最も関わりのある危険因子は、高血圧。血圧は1日の中で変化するのが正常で、日中の動いている時間帯では高くなり、夕方になって活動量が減ると低下し、睡眠中はさらに下がる。
しかし、朝起きてすぐに測った血圧の平均値が上(収縮期血圧)は135mmHg、下(拡張期血圧)が85mmHg以上で、就寝時血圧の平均よりも20mmHg以上高い「早朝高血圧(サージタイプ)」と、夜寝ている間の血圧が昼間より高い「夜間高血圧」の人は要注意だ。
早朝高血圧は、▽高血圧の治療中の人の薬の飲み方が不十分▽糖尿病や腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などの持病がある▽睡眠不足やストレス、喫煙、飲酒量が多い-などが原因で起こる。
毎日血圧を測る習慣をつけることが大切で、朝と寝る前の1日2回計測することで、自分が危険なタイプかどうか分かる。朝はトイレを済ませ、活動を始める前に測る。
★血圧を安定させるための生活習慣のポイント
(1)減塩塩分は1日6グラム未満に。
(2)食事野菜や果物を積極的に食べてカリウムを取り、血圧を下げる。
(3)減量BMI(体重キログラム÷身長メートル÷身長メートル)を計算し、25以上なら減量を。
(4)運動ウオーキングなど有酸素運動を毎日30分以上。
(5)飲酒控えめに。
(6)禁煙受動喫煙も避ける。
他に、入浴での血圧の変動にも気を付ける。高齢者が自宅や施設の浴室内でおぼれる事故は、12月から3月までが極めて多い。
暖かい部屋から寒い脱衣室や浴室に行って裸になると、末梢(まっしょう)血管の収縮で血圧が上昇。熱い湯に入ると交感神経の緊張で血圧は急上昇し、しばらくお湯に漬かっていると血管が拡張して血圧が急速に下がる。浴槽から出て体を洗う時、寒さで再び血圧が上昇する。
血圧が上がり過ぎるのも下がり過ぎるのも問題だ。温度変化が少ないように浴室と脱衣室を暖め、熱すぎるお湯は避けて、ぬるめ(40度くらい)のお湯に5~10分くらい漬かると良い。
(丸山知鶴)

投稿者: mgpress