堀金に3日ミニシアター開館 映画好き憩いの場“空き家”も活用へ

20畳ほどのスペースに、こたつやソファなど20席、スクリーンは100インチ―。コンパクトでアットホームなシアター「安曇野cocinema(コシネマ)」が3日、安曇野市に誕生する。仕掛けるのは東京から同市にIターンしてきた映画好きの青木弦矢さん(31、三郷温)だ。
安曇野で家を探していたころ、空き家が多いことを実感。市内に映画館がないことから、空き家と映画をマッチングさせ、好きな映画をリラックスして楽しむことができないかと模索してきた。その中で、堀金烏川でコワーキングスペースを開く篠原寛行さん(54)に相談し、1回目を同所で開くことになった。
しゃべったりイベントを企画したりもと、映画好きが交流する場へ夢が膨らむ。
安曇野cocinema 3日に上映初回

ミニ映画館ならではの作品を

愛好者集う環境づくり
安曇野cocinema(コシネマ)の会場は、拾ケ堰(じっかせぎ)沿いにある「AzuminoCoworking(安曇野コワーキングスペース)」。運営する篠原寛行さんが映画館の館長を務め、ミニ映画館で作品を上映できる「popcorn(ポップコーン)」というサービスを利用する。
スクリーンの前にはこたつ、大きめのソファ、足をのせるオットマン付きの椅子、デッキチェアと、座席はバラエティー豊か。飲み物、食べ物の持ち込みオーケーで、お気に入りの椅子や場所を見つけ、くつろぎながら見ることができる。上映後は交流会。今見た映画の話をするのもよし、自分が好きな作品の話をするのもよし。映画好きが集まる場の種をまく。
初回の上映作は邦画「ハッピーアワー」(2015年)。看護師、専業主婦など30代後半の4人の女性が主人公。仕事や家庭、人間関係などを通し、抱える不安や悩みを描き出した作品。今の自分は本当になりたかった自分なのか-といったことを問い掛けてくる。
監督は濱口竜介さん。前半3時間22分、後半1時間52分という大作で、演技経験のない4人が同年のスイス・ロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞するなど話題になった。
2回目以降も、県内ではなかなか見ることができないミニシアター系の作品を中心に邦画、洋画問わずに上映する予定。短編アニメーションを集めるなど、多様な上映会も計画する。
企画した青木弦矢さんは「愛好者が集まり、好きな作品を見られる環境をつくりたい。そこから新しい何かが始まるのでは」と話す。

青木さんは東京で営業の仕事をしていたが、自然と人が共生する安曇野に興味があり、今年9月に移住。映画は中学生の頃からレンタルで見ていたといい、社会人になってからは週1、2回、映画館に出掛けるように。
「映画を見るためだけに映画館に出かける。その時間が非日常的で、没入感がある。その時間が取れることがぜいたく」と青木さん。
スポンサーがいて、観客動員を念頭に置いた大作と異なり、ミニシアター系の作品は作家の個性が強いものがあったり、刺激的な映像やアイデアが面白かったり、文化の多様性を感じたり-。低予算だが、巧みに仕組まれた筋書きがあり、青木さんは「見ていていいな」と感じるという。

増え続ける空き家
対策に賛同者募る

少子高齢化や核家族化などにより、空き家は年々増加する。2013年の総務省の住宅・土地統計調査によると、安曇野市の空き家率は県内19市の中で4番目に低い14・0%。しかし、数は5540戸と8番目に多く、08年からの5年間で約1100戸が増加。対策が課題になっている。
古い家を活用する手段として、青木さんは「小さな映画館」としての利用を提案する

。貸してくれる人を探し“空き家マイクロシアター”の輪を広げたいとし、やってみたいという賛同者も募集中だ。
3日の「ハッピーアワー」上映は午後1~9時半。前編1600円、後編1600円。前売りのみで、ポップコーンのウェブサイト(「popcorn」で検索)で購入できる。

(八代けい子)

投稿者: mgpress