県結婚相談事業協同組合顧問・田中博文さんに聞くーシニア世代の婚活

人生の晩年を新しいパートナーと歩みたい-。気持ちが通い合う相手との出会いを求めて、「婚活」をする中高年・シニアが増えています。シニア世代の婚活の現状や注意点などを、県結婚相談事業協同組合顧問で認定相談員の田中博文さん(55、松本市島内、結婚相談室マリーエール代表)に聞きました。
-どんな出会い方、付き合う形がありますか
出会いの方法は3つ。自分の生活エリア(地域や趣味など)、知人の紹介、結婚相談所などのシステムを利用する-です。
参加するコミュニティーを増やせば出会いも増えますが、交際となると若い頃より限られてしまいます。
好きな人と一緒になる形としては、婚姻届を提出し法的効力が生まれる「法律婚(入籍)」、籍は入れないが事実上の婚姻状態にある「事実婚(内縁)」、同居はせず互いの家を行き来する「通い婚」などがあります。
どんな形であれ、考え方や価値観を認められるパートナーを見つけることが大切です。
-結婚歴がある人が再婚を考える上で大切なことは何ですか
離婚と死別で心構えは違います。離婚は同じ失敗を繰り返さない決意、死別は連れ添った夫・妻を失った悲しみを乗り越える気持ちが大切です。
配偶者と離別・死別したシニアのその後の平均余命で興味深いデータがあります。妻を亡くした男性は平均寿命より早死にする、一人暮らしの男性は既婚男性より8年以上短命といったものです。
男性は、身の回りの世話や食生活など女性に依存している人が多く、妻が亡くなるとダメージが大きい。一方、女性はそれらから解放されてリフレッシュし、人生を謳歌(おうか)して寿命が長くなるという見方もあります。
|共に人生を歩むと決めた時に注意することは何ですか
考えてほしいのは財産や家族のことです。入籍すると遺産の法定相続分は配偶者に2分の1あるので、子どもが反対するケースがよくあります。トラブルを避けるため、財産放棄をして入籍する人もいます。
内縁だと相続権はなく、特に夫が亡くなった後、妻の生活費が心配になる場合があります。そんなときのために公正証書で遺産の一部を遺贈する遺言書を作ったり、生前に財産を贈与したりする人もいます。
お墓の問題もあります。女性が再婚したら元の家族の墓を守る人はいるのか、再婚した妻が先に亡くなった場合、どこの墓に入れるのか…。新しくお墓を建てる、永代供養墓、分骨なども含めて考えておいた方がいいでしょう。
高齢になれば、当然介護が必要になる可能性もあります。そういう不安を解消させる“生活共同体”だけの相手ではなく、「あなたのおかげで幸せだった」と言えるパートナーを、起こり得ることを考えた上で見つけてほしいと思います。

体験談
松本市の60代のAさん、50代のBさんは、結婚相談所の紹介で知り合い2016年2月に結婚。共に働きながら、一緒にスポーツクラブで運動をしたり旅行に出掛けたりと仲むつまじく暮らしている。
夫のAさんは30代の時に離婚して以来、独り身で仕事一筋の生活。60歳を機に「もう1回、パートナーと人生を歩みたい」と相談所に登録。長野市に住んでいた妻のBさんは、5年前に前夫を病気で亡くし子どもはいなかった。「この先一人では寂しい」と思っていたところ周囲の勧めもあり相談所に登録した。
2人は出会う前に、それぞれ4、5人と見合いをしたがしっくりこなかった。Bさんは婚活パーティーにも参加したが、「参加者のプロフィルが曖昧で不安だった」。
そんな2人の見合い当日、「婚活に疲れていた」Bさんは遅刻してしまった。しかし、お互い見た途端「ピンときた」。共に行動派で趣味も合い、8カ月の交際を経て入籍した。
2人とも両親は他界し、Bさんは4人きょうだいの末っ子。実家は兄が継ぎ結婚の障害はなかった。「自分たちは恵まれたケース。縁に感謝したい。収入や学歴、趣味など詳しいプロフィルが事前に分かり、断るときも間に入ってくれる結婚相談所は自分たちに合っていました」
(井出順子)


投稿者: mgpress