松本の専門校生石井さんジャパン・ケーキショーで銅賞

キノコの家にリスやウサギ。カボチャやニンジンなどがたくさん並び、秋の収穫の雰囲気を醸し出す。キャラクターの色使いはもちろん、表情や髪の毛1本にまでこだわったデコレーションケーキだ。
作ったのは、専門学校未来ビジネスカレッジ(松本市渚2)パティシエ・ブーランジェ学科2年の石井玲奈さん(19、同市島内)。日本最大の洋菓子コンテスト「2018ジャパン・ケーキショー東京」のエコール(学生)部門で銅賞に輝いた。
県洋菓子協会によると、県内の専門学校生が同コンテストで入賞したのは初めて。市内の洋菓子店に就職が内定した石井さんは「さらに技術を磨き、地元から菓子業界を盛り上げたい。子どもたちに夢を与えられるようなパティシエになりたい」と目を輝かせる。

「祖母の作ったタルト」が原点

「ジャパン・ケーキショー東京」学生部門で銅賞を受賞した石井玲奈さん。ケーキには愛くるしい動物のキャラクターや子どもたちが登場し、まるで絵本から飛び出したおとぎの国のようだ。デコレーションはすべて砂糖とアーモンドの粉を練った「マジパン」で、細部まで丁寧に作り込み、約2カ月かけて完成させた。
最もこだわったのは「キャラクターの生き生きとした表情や色使い」。秋をテーマに森の中の空想の世界を高さ15センチ、直径22センチのドーム状ケーキで表現した。
登場する女の子は、瞳の輝きやそばかすまで細かく表現。男の子は森の中でつまずき、収穫した柿を籠からこぼしてしまったという「おっちょこちょい」な設定。よく見ると、脱げた片方の靴が落ちていて「くすっ」と笑える。
単なる装飾品ではなく、そこに物語性を感じさせるのが石井さんの作品の特徴。かわいい「隠れキャラ」も忍ばせ、人を楽しませる工夫が随所に光る。
色づいた木々の葉は、5色に彩色したマジパンで小さな葉を作り、重ね合わせたというこだわりよう。「紅葉の微妙な色加減を表現したかった」という。

マジパン作りは学校の実習で今春、基本技術を学んだばかり。もともと細かい作業が好きで、「やり始めると時間も忘れて熱中してしまう」と石井さん。6月に開かれた県洋菓子コンクールに初出品すると、県知事賞に次ぐ県洋菓子協会会長賞を受賞し、自信をつけた。
担任で製菓衛生師の竹内遥さんも「石井さんは手先が器用で、誰よりも頑張り屋さん」と、今後の活躍に期待する。
ジャパン・ケーキショーには「どこまで自分の力が通用するのか試したかった」と出品を決めた。8月からこつこつとデコレーションの部品を作り始め、放課後に毎日遅くまで作業した。指先でマジパンを丸めたり、縫い針を使って小指の先よりも小さなハロウィーンカボチャを彫ってみたり。休日は家でも制作し、10月のコンテスト搬入の前日にようやく完成した。
ジャパン・ケーキショーでは、入賞作以外は作品が返却されない決まり。石井さんは「どうしても自分の作品を持ち帰りたかった。だから頑張った」と言い、受賞が決まった時は声を上げて喜んだという。

石井さんがパティシエを志したきっかけは、離れて暮らす生坂村の祖母にある。「おばあちゃんの家に遊びに行くと、いつもカボチャのタルトを作ってくれた。それが本当においしくて」と石井さん。感動して「どうやったら作れるのか」と、自分も菓子作りを始めたことが今につながっている。
中学時代は美術部、豊科高校では書道部に所属。色彩感覚やデザインなどはそこで培った。動物が好きで、一時はドッグトレーナーやペットショップの仕事に就きたいと考えたこともあるが、頭に浮かんだのは「おばあちゃんのタルト」だった。「自分の作ったスイーツで人を喜ばすことができたら、こんな幸せなことはない」と石井さん。
「次は自分が作った最高のケーキを、おばあちゃんに食べてもらいたい。いつか自分のケーキを口にした子どもたちが、自分と同じようにパティシエを目指してくれたらうれしい」と夢を膨らませる。
(高山佳晃)

投稿者: mgpress