「人間ども集まれ!」再編上演

「TCアルプ」が演じる続編的新作 演出家・木内さんに聞く

もしもこの世の中に、女性でも男性でもない、性のない人間が現れたら―。手塚治虫は50年前、世の中への警告を込め、長編SF漫画「人間ども集まれ!」を発表した。
まつもと市民芸術館(松本市深志3)は30日から、手塚作品を現代からひもとく「人間ども集まれ!2018」を上演する。16年に演出家で劇作家、翻訳家の木内宏昌さんが脚本、演出を手がけ、劇団「TCアルプ」が演じた作品を今回、大幅に改訂。劇団メンバーも7人に増え、続編的新作として届ける。
人間が都合の良いように生み出した“無性人間”の「未来(みき)」、父親の「タイヘイ」、同じく無性人間の「9995452」など、役者の個性を生かした配役も見どころだ。熱気あふれる稽古現場を訪ね、演出家の木内さんに作品について聞いた。

演劇で「未来」を一緒に見よう
演出家・木内宏昌さんインタビュー

「人間ども集まれ!」はどんな物語ですか
原作は手塚治虫さんが1967、68年に発表した大人向けの風刺漫画です。人間の欲望のために大量生産された男でも女でもない“無性人間”が、やがて革命を起こし世界を征服します。「人間たちが自らつくり出したものに逆に支配されていく」というメッセージが原型です。
2016年にTCアルププロジェクトとして市民芸術館で上演し、今回は新作として全面的に作り変えました。実はもう一つの結末(雑誌連載分)の最終ページに不思議な「Sの警告」があるのです。これを「今」とし、過去へとひもといていきます。
「TCアルプ」ならではの演劇にするには?
劇団公演であるからには、俳優の魅力を引き出していく上演台本を書きました。彼らは串田和美さんの薫陶を受けて集まった集団で、演劇としてものを考える力「演劇的な知性」がものすごく高い。違う演出家で舞台を作るからには違うアプローチで刺激します。
作品は、メンバーが男性6人、女性1人という組み合わせを使い“男の塊”を基本軸にしています。男性が6人集まったら平和なことを言わないでしょう?TCアルプだからこそできる表現です。
SF漫画を舞台化する難しさは?
芸術の世界ではSFという文化は表層的だと見られます。しかも風刺漫画です。でも物語はベトナム戦争が起点になっている。手塚さんは人が死ぬことをギャグタッチの漫画で描くことで、戦争批判のメッセージを大量放出しました。
僕らは演劇でないと伝わらないことを届けたい。それは、俳優と同じ空間や時間を共有することで、「経験していない未来を一緒に見よう」ということなのです。
あきらかに“性”を扱った物語です。手塚さんがSとして残した警告から50年たった今、AI革命前夜という世の中で、性風俗の氾濫やセクハラ、男女平等、LGBTなどの問題を人工知能が解決するとしたら無性化するのか、どうあることが正解なのか。そこから「人間とは」「現代人とは」を問い掛けています。

【公演情報】11月30日午後7時、12月1~3日、午後1時、まつもと市民芸術館小ホール。全席指定。一般3000円、18歳以下2000円(当日券は500円増し)。
1日の終演後、手塚治虫さんの長女でプランニングプロデューサーの手塚るみ子さんを招いたトークショーを行う。
まつもと市民芸術館チケットセンター電話0263・33・2200(午前10時~午後6時)、問い合わせは同館電話0263・33・3800
(井出順子)

投稿者: mgpress