安曇野 宮澤さんが生産「夢ごこち」上位8点に選出 全国「お米番付」で最高賞

農事組合法人、宮澤ファーム(安曇野市三郷明盛)の理事、宮澤和芳さん(33)が生産した米「夢ごこち」が、京都市の米穀小売商が主催する「お米番付2018」で「最もおいしい米」8点のうちの1点に選ばれた。米と料理のプロの「舌」だけで審査する全国唯一のコンテストだ。
夢ごこちは、味は抜群だが、病気にかかりやすく、収量が少ないなど米農家にとっては「やっかいな」品種。宮澤さんもこれまでに2度、この米の栽培を断念し、米作りの難しさを体験した。
「日本一うまい米を作りたい」と就農して10余年、自分で作った入賞米の夢ごこちを「現時点では最高の米」と胸を張る宮澤さん。「安曇野の米を広く知ってもらうことで、米の産地としての安曇野の認知度をアップしたい」と将来を見据えている。

甘さと香りプロの舌で

「お米番付」は、京都市の米穀小売商「八代目儀兵衛」が主催する。あまたある米のコンテストは、精米のタンパク質や水分などを食味計で計測して最初の審査を行うのが一般的。お米番付では、重要視する「甘さ」と「香り」は、機械審査では十分に分からないと、プロの舌で全品を審査する。こうした姿勢が米農家の共感を呼び、2013年に第1回を開催以降、年々出品者が増え、6回目の今年は過去最高の40都道府県の163点が出品した。
審査は、精米の仕方や米のとぎ方などルールに従って炊いた米を試食し、甘さ、香り、白さ、つやなど7項目を数値化する。1次審査は、日本米穀小売商業組合連合会認定の「お米マイスター」の資格を持つ27人が試食して12点まで絞り、最終審査は、同社の橋本隆志社長(46)の他、ミシュランガイドで星を獲得した店の料理人など合計5人が審査。入賞米8点を選んだ。
11月29日に賞状を授与するため宮澤ファームを訪れた橋本社長は、宮澤さんの米について「濃密な粘りが幸福感を与え、黒糖のような甘みが広がる」などと総評を伝え、「米農家の未来をけん引してほしい」とエールを送った。

実家に就農研究重ねて

宮澤さんは東京の専門学校を卒業後の2006年、27ヘクタールの作付面積のある実家に就農。高校では野球に熱中し東京に出るまでは農業に「いいイメージはなかった」が、実家を離れたことで「農業を含め、安曇野全体の良さが分かった」。
米農家になったからには「日本一の米を作りたい」と、主力のコシヒカリとは別に、「こだわりの米」を作るための水田を確保。先輩農業者の助言や調べた情報などを元に試行錯誤。コンテストにも出品、入賞もした。
八代目儀兵衛から初開催のお米番付への出品の誘いがあり、こだわりのコシヒカリを出品。今回と同じ入賞を果たした。橋本社長から「安曇野でこんな米が作れるなんて」と賞賛された上、夢ごこちの契約栽培の依頼も受けた。
夢ごこちは、宮澤さんの父貞仁さん(64)が栽培していたが、収量が少ないことなどから宮澤さんが「作るのをやめたほうがいい」と進言した品種。しかし、自分が栽培を請け負ったからには作らないわけにはいかず、「入賞したコシヒカリと同じように作ればなんとかなる」と挑んだ結果、橋本社長から「良さが出ていない」と酷評され、契約も1年で打ち切られた。
その後も研究を重ね、コシヒカリや風さやか、ミルキークイーンといった品種を栽培し、お米番付にも毎年挑戦したが思うような結果は得られなかった。宮澤さんは「初出品で入賞した米も、今思えば何が良くてああいう米ができたか分からない。偶然だったんです」と振り返る。

「お前の米は毎年味がぶれる。味も科学。もっと根拠に基づいて作るべき」。宮澤さんが米を納めている地元のすし店主から、最近になって突きつけられた言葉だ。
今年、お米番付への出品にあたり、「うまい米というイメージが常にあった」夢ごこちを選んだ。すし店主のアドバイスなどから、肥料業者と相談して米の成分などを分析。甘みを出すための肥料作りから始まり、水田の土や水の分析、苗の育成期間や田植えの時期など、科学的根拠をそろえた。
その結果が5年ぶりの入賞。宮澤さんは「この夢ごこちは『また作れ』と言われれば同じレベルのものを作れる」と自信を見せ、「米の産地として認知してもらうため、おいしさなどをもっと伝えなければ」と次なる課題と向かい合う。

夢ごこちは5キロ2800円、10キロ5500円。
(浜秋彦)

投稿者: mgpress