「池田つむぐプロジェクト」 大学生有志が活動地域づくり一緒に

「関係人口」という言葉がある。地域の外に住んではいるが、そこを再三訪れて楽しむ人や、ルーツがそこにあり帰省しては地域づくりに参加する人のことを表し、「つながり人口」とも言われる。
今年6月に始まった、信州大(本部・松本市)や長野大(上田市)などの学生有志が池田町を拠点に、地域の課題解決を考える「池田つむぐプロジェクト」の活動が、関係(つながり)人口を生み出している。学生たちは住民と対話したり、意識調査をしたり。9日には「池田未来会議」を開き、半年間の活動報告をして参加者と意見を交わす予定だ。
中でも、山間地の広津地区に親しみを感じる学生たちの動きが特に活発。訪問ツアーを開いたり、地区行事に顔を出したりして、つながりを深めている。

魅力的な人や自然残る地域

池田町の広津地区は山間にあり、現在の人口は45世帯86人。半数近くが65歳以上だ。この地が「池田つむぐプロジェクト」で現地を訪れた学生たちの心を捉えた。「魅力的な人や自然が残っている」とし、同地区担当の学生5人が中心となり10月21日、プロジェクトメンバー以外の学生に呼び掛けて「広津巡りツアー」を開いた。一般の学生10人が参加し、メンバーらを加えた16人が広津で秋の1日を楽しんだ。
自宅の囲炉裏(いろり)を開放し、おやき作りを教えた山﨑英男さん(69)は、自在鉤(かぎ)でつったほうろくで生のおやきをあぶった後、灰の中に入れる昔ながらの方法を教えた。囲炉裏は数年前に友人と一緒に作り替え、「若者との交流に生かせてよかった」と言う。
学生にニンジンの収穫を手伝ってもらった広津安曇野和房組合の組合長、井上宏さん(77)も「みんな楽しそうによく働いてくれた。真面目さにびっくり」と喜んだ。
メンバーの一人で信大1年の絹谷智樹さん(19)は「自然が好き。住んでいる人も生き生きとしていて(高齢者が人口の過半数を占める)『限界集落』という言葉を当てはめては申し訳ない。今は住みたいとさえ思う」と話す。
メンバーは11月17、18日の合宿でも野沢菜の収穫をお手伝い。集落の祭りや三世代交流会などにも顔を出している。

課題の解決を住民とともに

つむぐプロジェクトは、池田町出身で長野大4年の伊藤将人さん(22)と、町役場の職員が「これからの町づくりには若者の視点が大切」と話し合ったことから始まった。名前には「昔、製糸業が盛んだった池田町で縁を紡ぐ、未来を紡ぐという気持ちを込めた」という。
2人の計画は、1年目は「地域を知る」、2年目は住民と問題点の「解決方法を考える」、3年目は実現可能なことから「動く」。「2年目で終わっては、単なるフィールドワークになってしまう。3年目が大切」と伊藤さん。
1年目の今年は6月30日から7月1日にかけ、大学生約30人を中心に初めて合宿を行った。伊藤さんが代表になり、商店街にある町交流施設「シェアベースにぎわい」(池田)を拠点に、住民有志とともに町内を巡った。夜は宿泊先の滝沢集落センター(会染)で地域住民と会食もした。
2回目は8月末で約20人が参加。広津集落センターに泊まり、「子育て」「空き家」「限界集落」など問題ごとに6グループに分かれて町内全域でインタビューに取り組んだ。
プロジェクトの中からは“スピンオフ”(副産物)の活動も生まれた。信大2年の滝浪雅史さん(22)、伊藤さん、社会人支援スタッフの竹村美代子さん(32)の3人が、県などが主催する「信州ベンチャーコンテスト」のアイデア部門に出場。「移住定住を促進させるために、町内の寺で宿坊『寺住(てらす)ハウス』を開こう」という企画でグランプリを獲得。3人は実現に向け準備中だ。
さまざまな形で、町の「関係人口」が増えている。

池田未来会議は9日午後1~4時、町公民館(池田)で開く。申し込みなしで誰でも参加できる。メンバーは「皆さんと共に今後を考えたい」と住民の来場を呼び掛ける。

(長田久美子)

投稿者: mgpress