松本の91歳高田さん 構想から20年民話集完成

信州児童文学会の会員で民話の創作に取り組む高田充也(みつなり)さん(91、松本市中山)は、20年以上前から書きためてきた作品を「北アルプスの民話」(ほおずき書籍)にまとめた。朝日村から小谷村までを舞台にした心温まる14作品を収録。90歳を超え、「これが最後」(高田さん)という一冊だ。
作品は、地域に伝わる話を核にしていたり、高田さん自身の創作だったり。
「山鳥の尾」(安曇野市穂高)は、地域の人々を困らせる八面大王が基になっている。山鳥を助けた若者、矢助の元に、人間の娘に姿を変えた山鳥が現れ、夫婦となって仲良く暮らす。その後、地域に現れた八面大王を退治するために、坂上田村麻呂が登場し、特別な山鳥の尾が必要と民衆に呼び掛ける。娘に姿を変えた山鳥は自らの尾を差し出し、矢助の元を去るという粗筋だ。
「青木湖の主」(大町市)は牛が好きで、牛と生活を共にしていた祖母を思いながら作った作品で、母牛、子牛への愛情があふれている。この他、「道祖神の嫁入り」(朝日村)、「六兵衛といわな」(松本市波田)などを収録している。
「民話は人のために語るもので、温かな心、思いやりの心が入っている」と高田さん。教員生活などの傍ら創作を続け、童話「中山っ原」三部作で信州児童文学会作品賞を受賞。二十数作品を出版している。
今回収録した作品は1998年の長野五輪に合わせて発行しようと書き始めたものの、間に合わずに断念。今回、ほおずき書籍との出合いで日の目を見ることになった。20年以上かけて形になった本を手に、高田さんは「駄目かと思っていただけに、うれしい」と感慨もひとしおだ。
A5判、125ページ、1620円。1000部を発行。ほおずき書籍電話026・244・0235
(八代けい子)

投稿者: mgpress