ウェストンの功績伝え 嘉門次小屋おかみ 上條久枝さん語る

市民有志が主催する講座「サロンあがたの森」は8日、172回目を松本市あがたの森文化会館で開いた。北アルプス上高地(同市)嘉門次小屋のおかみ上條久枝さん(74)が「ウォルター・ウェストンと上條嘉門次」の題で、5月に同名の本を刊行した動機、ウェストンの功績や嘉門次との交流などを話した。
ウェストン(1861~1940年)は英国人宣教師で北アなどに登り、日本の山や風習などを世界に紹介したことで知られる。嘉門次(1847~1917年)はその案内人を務めた。
上條さんは、嘉門次の曽孫の輝夫さんの妻。2014年に国民の祝日「山の日」が制定された際、ウェストンと嘉門次について多くの取材を受けたが、「名前は知っていても、実際の活動などは知らない人が多く、風化しているのでは」と危惧し、本にまとめることを思い立ったという。
ウェストンの著書を読み返したり、改めて資料を集めたり。その大きな功績は「日本山岳会の設立に影響力を発揮したこと」。1902(明治35)年、2度目の来日の帰国直前、「日本山岳会」創立者の一人・小島烏水と友人の岡野金次郎に、英国の山岳会「アルパイン・クラブ」について語り、日本での山岳会設立を強く勧めた。日本山岳会の設立はその3年後だ。
また、嘉門次とウェストンの出会いは、穂高岳(前穂高岳)に案内した1893(明治26)年。「(2人は)登山の技量が一緒だったのではないか。気持ちよく、よいスピードで登ることができ、気が合った」。再会は18年後だったが「昨日別れたばかりみたいに親しく話ができた」と、信頼し合った2人の関係を紹介した。
上條さんは熊本県出身。山が好きで、縁あって嘉門次小屋4代目の輝夫さんと結婚。小屋を切り盛りする傍ら、俳人として活動している。
(矢﨑幹明)

投稿者: mgpress