シニア・リフォーム 改修工事のポイント

スペースウェアハウス小林専務、西山さんに聞く
高齢になって身体機能に変化や障害が出たとき、住み慣れた家で暮らし続けるために改築やリフォームを検討する人も多いだろう。シニアの改修工事で多い断熱や段差解消などのポイントを、松本市平田西のスペースウェアハウスの小林誠専務(57)、リフォーム部主任の西山奈実さん(57)に聞いた。
【断熱】高齢者にとって怖いのは、家の中の急激な温度変化で体にダメージを受けるヒートショック。起きやすい場所はトイレ、脱衣所、浴室だ。
「ヒートショックで亡くなる高齢者は年1万人以上で、交通事故による死亡者の3倍以上」と小林さんは深刻さを訴える。
県内では、人がいる場所だけを暖める局所暖房の家が多いという。だが、部屋に断熱を施して建物の精度を上げることで温度変化が少なくなり、ストレスや不安から解放され、暖房器具による火災などの事故防止にもなる。
既存住宅で断熱改修をする場合、▽熱が逃げやすい窓を断熱サッシに替える▽内窓を設置する▽天井や床下に断熱材を入れ、床暖房を付ける|などがある。暖めた空気が逃げにくく、快適な温度を持続させることを目指す。
こうした断熱は、夏の暑さ対策としても効果がある。屋内で発症する熱中症の予防や、冷房の効きが良くなることで省エネ効果も期待できる。
断熱材の種類はさまざまあり、古新聞を粉砕して綿状にした木質繊維の「セルロースファイバー」もお勧めの1つだ。防火性能を高めるため配合されたホウ酸は、人体には無害だがシロアリなどの害虫を寄せ付けない。
「床下に15センチ、天井に20センチ程度入れるのが一般的。各部屋の温度むらが少なくなり、結露も出にくくなります。県の環境配慮型住宅助成金を使うこともお勧めです」と西山さん。
【段差】段差の解消に気を使う人が多いが、小林さんは「つまずく可能性が高いのは2~3センチのわずかな段差。それより高いと意識して足を上げるためあまり気にしなくていい」。わずかな段差をなくすには、スロープになるように改修したり、市販品などを使ったりする方法があると言う。
むしろ、床や畳の上に敷くじゅうたんやカーペットに注意が必要という。めくれたり床の上を滑ったりして危ないので、使う時は「一部分だけ敷くのは避ける」「床との間に段差を作らないよう隙間なく敷き詰める」ようにする。
また、年を取ると物が見えづらくなり、水晶体が黄色みを帯びて黄色が識別しにくくなったり、青や緑が黒っぽく見えたりするようになる。こうした変化を理解して、「段差部分にはっきりした色の目印を付ける」「階段の手すりと壁紙の色を変える」などの工夫をし、家の中の安全性を高めることも大切だ。
【その他】「危なくない」という理由で、調理コンロをガスからIHクッキングヒーターに替えたいという要望も多い。
確かにIHは炎が出ないので、服などに火が燃え移ることはないが、使用後にトッププレートを触ってやけどをした、調理中、突然鍋が横滑りして床に落ちたなどの事故があり、「使い慣れたガスの方が、炎が見えて安全という考え方もある」と西山さん。火の消し忘れや煮こぼれなどによる立ち消えでも、自動でガスが止まる温度センサー付きガスコンロもあるという。

近年は、車椅子を使う人などが座った姿勢のまま料理ができるキッチン、ベンチカウンター付きのユニットバスなどさまざまな需要に応じた既製品が増え、オーダーもできるようになってきた。
小林さんは「シニア世代のリフォームの要望は増えている。良いセカンドライフを送るためにも、快適な空間づくりは大切。自立の度合いや金銭的な問題もあるが、お年寄りが快適なら子どもや孫にとっても快適な場所になるはず」と言う。
(八代けい子)


投稿者: mgpress