一瞬に心つかむ踊る楽しさ 障害者ダンスチーム「サニービーンズ」

「サニービーンズ」は松本市を拠点に活動する障害者ヒップホップダンスチームだ。2015年9月結成。ダウン症や自閉症などの子どもを中心に30人が所属する。
記者が初めて彼らのパフォーマンスを見たのは11月3日、市中心部にある本町通りの路上。まつもと市民祭に合わせて開かれた本町市民祭で、オープニングアクトを務めたサニービーンズは、DA PUMP(ダ・パンプ)の「USA」に合わせてノリノリのダンスを披露した。
振り付けはシンプル。しかし、彼らが放つ“ダンスが楽しいオーラ”に、一瞬にして心をつかまれた。母親たちも一緒に踊っているのがまたいい。
彼らはどんなチームなのか。12月15日に、島内のラーラ松本で行われた練習に足を運んだ。

園児から30代まで自分なりの時間

ラーラ松本3階のスタジオが、サニービーンズの練習拠点だ。月1~2回、園児から30代の社会人まで、ダンス講師のNAHOさん(35、塩尻市)に1時間教わる。10月からは新作に挑戦中。これまで取り組んだ2作品より少し難しいステップが入るが、メンバーはますます楽しそうだ。
ダウン症の大谷あきほさん(17、松本市北深志)は家で毎日練習。「NAHO先生の振り付けはかっこいいので夢中になる。リズムに乗って踊っているとすごく気持ちがいい」と声を弾ませる。
スタジオを見渡すと、NAHOさんのすぐ後ろで夢中で練習する子、スタジオ最後方で控えめに体を動かす子、休憩中も時間を惜しむように踊る子、自分が好きなパートが来た時だけ踊る子などさまざま。一人一人が尊重されている安心感と開放感がある。
あきほさんの母親、美保さん(53)は「下手でも、習得が遅れていても、鏡を見ているだけでも、誰も何も言わない。その子なりの1時間を楽しんでいて、みんなかわいい」と目を細める。
サニービーンズは、ヒップホップダンス愛好家で、メンバーの指導にも当たるnokoさん(60、安曇野市穂高)が、ダウン症の娘を持つ知人の黒岩美紀さん(53、同市三郷)と協力して立ち上げた。道具を必要としないダンスならば、誰でも参加できる。障害者とその家族、健常者の交流を広げようと、安曇、松本の両養護学校と、ダウン症の子がいる家族でつくる「ひまわりの会」に声をかけ、15人でスタートした。
初めて人前で踊ったのは昨年9月の県障がい者スポーツ大会。このとき、チーム名を「豆にもいろんな色や形があるように、いろんな子がいていい」との気持ちを込め「サニービーンズ」に。数字の8が豆の形に似ていることから、「88」を印字したTシャツを作ってステージに立った。2度目のステージは今年9月の同大会。本町市民祭は3度目の本番だった。

市民祭に参加し「USA」に挑戦

市民祭参加は、松本地方のダンスグループ「社会貢献隊」(小林美穂代表・67人)に誘われて急きょ実現。本番1週間前に小林さんから「USA」の振り付けを教えてもらい、後は自宅練習だったが、見事やり遂げた。
「貢献隊の皆さんがぐいぐいと引き込んでくださったことで、照れや恥ずかしさ、不安が全て吹き飛んだ」と黒岩さん。「他団体と一緒に踊れたことは大きな励みと自信になった。世界が広がった」と感謝する。

「子どもと成長」親も大切な場所

親にとってもサニービーンズは大切な場所だ。体を動かしたり悩みを打ち明けたりしてストレスを発散する、先輩ママの話を聞く、学校や病院、仕事などの情報交換をする、など話は尽きない。
「話すだけで気持ちが晴れる。ここに来ると、胸にたまった不安がすっと消えていく」と話すのは、ダウン症の娘るいさん(14)と結成当初から参加する丹後谷かおるさん(48、松本市梓川)。
わが子の見知らぬ一面も発見できる。堀宏子さん(51、安曇野市三郷)は自閉症の長男智博さん(18)が市民祭のステージに立ったことに驚いた。「大勢の観客が間近にいたので、絶対に嫌がると思っていた。親の方が子どもの可能性を否定してしまうことは多々ある」とし、「本番の舞台は子も親も成長させる。いろんなイベントに呼んでいただけたら」と話す。
(松尾尚久)

投稿者: mgpress