【緑のキセキ】天皇杯2回戦(10月11日)浦和レッズ戦 大会史上初J1に勝利

2009年の天皇杯全日本サッカー選手権2回戦で、県代表の松本山雅FCは10月11日、J1浦和レッズとアルウィンで対戦し、前後半に1点ずつ挙げて2―0で勝った。地域リーグのチームがJ1を破ったのは大会史上初めて。山雅は前年のJ2湘南に続き、2年連続でJリーグ勢から金星を挙げた。
国内屈指の人気チームとの対戦とあって、山雅の試合で過去最多の観客1万4494人を集め、スタンドは両チームのカラーの緑と赤に染まった。
前半12分、山雅は阿部琢のロングパスに抜け出した柿本が、相手GKの頭上を越す鮮やかなループシュートを決めて先制。後半27分にも途中出場した今井の左クロスがゴール前でこぼれ、大西がつないで最後は阿部琢が蹴り込み2点目。
山雅は何度もゴールを脅かされたが、DFとMF陣の粘り強い守備とGK原の好セーブで得点を許さず、カウンターでつくった決定機を確実に決めた。
山雅は3回戦に進み、10月31日にJ2岐阜と秋田市で対戦する。

巨人の前に“緑の壁”

ジャイアント・キリング(巨人殺し)―。サッカー界で下位リーグのチームが上位リーグのチームを破る「番狂わせ」を表す言葉だ。アジアクラブ王者の経験もある「巨人」を、3段階下の北信越リーグにいる山雅は見事な戦いぶりで破り、J入りした将来を想像させるアルウィンの大観衆に応えた。
「(ゴール前に)まるで生きた壁があるようだった。結果を出すには幸運も必要だが、彼らの戦う姿勢やピッチ上での仕事が運を引き寄せた」
よもやの敗戦後、浦和のフィンケ監督は山雅をそうたたえた。阿部勇、闘莉王の日本代表2人を欠いても、J1で得点王を争うエジミウソンや5人の元代表らがそろう浦和は個々の技量で圧倒。しかし、山雅の粘り強い守りは最後まで崩れず、焦る相手はシュートミスを連発した。
「誘い込む守備が、格上とやるのにベストだった。(山雅の)新しい戦い方ができた」と2得点に絡んだ殊勲の阿部琢。
山雅は、JFL昇格を争う全国地域リーグ決勝大会の出場権を得るため、5連戦となる全国社会人選手権(全社)の初戦を6日後に控えた一戦。
前年も天皇杯で湘南を破りながら延長、PK戦まで戦った痛手が全社で尾を引いた。浦和戦は当初、主力数人を温存する方針だったが、「責任や期待がある。選手が望む形が一番いい」(吉澤監督)とベストメンバーに踏み切った。
主将の柿本は「ダメージも、勝利の余韻に浸る間もない。慢心せず、切り替えて全社に臨む」とうなずいた。
○…GK原(浦和のシュート20本に体を張った好守)「もっと厳しい試合になるかと思ったが、DFやボランチが頑張り、決定機をつくらせなかったのが勝因」

「緑のキセキプレイバック2009」は松本山雅FCが北信越リーグ1部からJリーグの一歩手前となるJFL(日本フットボールリーグ)昇格を決めた2009(平成21)年の劇的なシーズンを、松本平タウン情報に掲載した記事や写真を再構成してお届けします。
(山岡史明)

投稿者: mgpress