丸の内病院・中土幸男さんに聞く「フレイル」の予防と改善

健康な状態と要介護・要支援状態の中間を指す「フレイル」を回避することが、健康寿命を延ばすキーワードとして注目されています。昨年、国内でも珍しい「ロコモフレイル外来」を開設した松本市渚1の丸の内病院院長で、整形外科・リハビリテーション科担当医でもある中土幸男さん(71)に話を聞きました。

要介護・要支援の手前

―フレイルとは
フレイルは英語で「虚弱」や「老衰」を意味する「Frailty(フレイルティ)」が語源です。「加齢に伴い、心身の活力や生活機能が障害され、心身がもろくて弱い状態」を指します。
要介護・要支援状態になる手前で、早期に適切な処置をすれば健康な状態に戻すことができます。介護期間を短くし、健やかに老いるためのキーワードとして話題に上がることが増えました。
―どのように診断しますか
=のような5項目で評価し、3項目以上該当すればフレイルと診断します。全て当てはまらなければ健康といえますが、1、2項目でも該当すればプレフレイル(フレイルの一歩手前)です。
高齢者だけでなく、若い人でもなり得る症状なのです。
―「サルコペニア」や「ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)」とどう違いますか
「サルコペニア」は筋力低下や身体能力が低下している状態、「ロコモ」は運動器の衰えにより移動機能が低下している状態を指します。
フレイルには、サルコペニアの要素が含まれ、診断項目の内「筋力低下」と「歩行速度の低下」はサルコペニアの診断にも用いられています。
フレイルには悪循環の構図があり、筋力・筋肉量減少→家に閉じこもる→社会的コミュニケーションの減少→認知機能低下→自分で食事が取れず低栄養になる→身体機能の低下…と、状態がどんどん悪化していきます。
サルコペニアに端を発してこの循環に巻き込まれる人は多く、「フレイルはサルコペニアから始まる」といっても過言ではありません。
また、ロコモとも密接に関連します。手足だけでなく、咀嚼(そしゃく)機能の低下など口腔(こうくう)に関する「オーラルフレイル」という言葉もあります。

身体や精神状態考えて改善指導

―どのような予防、改善方法がありますか
フレイルの概念は広く、閉じこもりや孤食などの社会的側面、判断力や認知機能の低下、うつなどの精神的なものもあり、身体的だけでなく多面的に目を向ける必要があります。
私たちの「ロコモフレイル外来」(金曜午後2時~、予約制)では各専門医に加え、ソーシャルワーカーや管理栄養士、薬剤師などさまざまな専門家が連携し、運動機能、栄養状態、筋力・筋量などを評価した上でそれぞれに合った改善方法を指導しています。
身体的な面でいえば、ウオーキングなどの有酸素運動に加えて筋力トレーニングが有効です。風呂掃除や床磨きなど、日常生活の中でできることもあります。運動は、筋肉量の増加、心機能や肺機能の向上、老化の抑制などさまざまな良い効果があります。疾患が合併している場合には、その治療も行いながら安全に運動ができる方法を検討します。
また、運動するのに必要なタンパク質、カルシウムを取り込みやすくする「ビタミンD」の不足に気を配ることも大切です。紫外線はビタミンDを生成するので、できるだけ日光に当たってください。
読書や楽器演奏などの知的活動、ボランティアなどの社会活動に取り組むこともフレイルの予防・改善によいでしょう。
(大山博)

投稿者: mgpress