スポーツボイスで若々しく 生きがいづくりや介護予防に活動広がる

男女20人ほどが集まった、松本市の鎌田地区公民館の会議室。インストラクターの伊藤きくみさん(40、鎌田)の掛け声に合わせ、それぞれが声を出したり歌ったりしながら、顔や体を動かしていた。
音楽に合わせて声を出し、舌や唇、喉仏をはじめ、全身を動かす「スポーツボイス」だ。体を動かしながら声帯ストレッチや腹式呼吸などに重点を置くトレーニングで、嚥下(えんげ)機能の向上や内臓脂肪を減らすなどの効果もあるとされている。
声のトレーニングを年配者の生きがいづくりや介護予防につなげようと、松本市が2015年から各地でスポーツボイスの講習を開催。歌いながらトレーニングになる楽しさから、自主的な活動として広がりつつあり、アンチエイジングの効果もあるようだ。

みんなが熱中 身体も変わる
広がるスポーツボイス(松本市)

「スポーツボイス」は、音楽プロジェクト会社、GOLDWAX代表の東哲一郎さん(東京都)が考案した。通信カラオケ機器を活用した介護予防・健康増進コンテンツ配信システムなどにも載せている。
松本市は、定年退職後の男性が外へ出るきっかけにし、さらに生きがいづくりや介護予防につなげようと、2015年10月~翌年2月、3カ所で体験講座「スポーツボイス大学院」を開講した。心理的な健康などに効果が認められ、市では女性にも枠を広げ、17年までに7地区で大学院を開催。受講者には地域のリーダーとして活躍してほしいと、通信カラオケ機器を活用し健康寿命を延ばすことを目指す「日本音楽健康協会」の「音楽健康指導士」(音健士)の資格取得を呼び掛け、42人が取得した。

音楽健康指導士42人が資格取得

市の講座終了後も7地区で「スポーツボイス」は継続しているほか、自主的な活動も生んでいる。
「もっと多くの人にスポーツボイスを知ってほしい。このままでは活動が先細りになる-」。鎌田地区公民館では、音健士とスポーツボイスのインストラクターの資格を取得した伊藤きくみさんが声を上げ、体験会を今年11、12月に6回実施した。11月に市内で開いた「第8回世界健康首都会議」で発表した、ラップ調「信濃の国」をもっと広めたいという思いもある。
参加していた佐藤忠利さん(79、寿北)は「3年前、脳梗塞の後遺症のリハビリにといすに座って参加し、2年目からは立って行っている。若い時にはいていたズボンが入るようになり、苦手だったカラオケも苦じゃなくなった」と話す。
スポーツボイス大学院実施当時、今井地区福祉ひろば職員として働いていた伊藤さんは一緒に受講し、音健士の資格も取得した。さまざまな講座を見てきた中で「自分がやりたいと思ったのはスポーツボイスが初めて。みんなが熱中するし、身体の変化も実感できて、喜ばれる。職員を辞めた後も、人とつながり続けることができる」と、独自にインストラクターの資格も取得した。
その後、うつを患った時期もあったが、「続けていたおかげで、精神面も体力面も支えられ、乗り越えられた」と伊藤さん。現在は長野市、塩尻市、山形村の3カ所のカルチャースクールで講師を務めている。「人とつながり続けられ、人が笑ってくれるのがうれしい」
同公民館でも継続を希望する声は多く、来年早々にも今後の方向を決める予定。今井地区の若い女性から「女性向けレッスンを、農閑期に開いてほしい」と依頼があり、来年1月から今井公民館で体験会や講座を開く。

自主グループの横のつながりを

一方、スポーツボイスにとどまらず、活動の幅を広げる音健士たちもいる。福祉ひろばで開く「ふれあい健康教室」(ふれ健)などで「指導者」として活躍する人たちだ。11日、今井の中村地区で開いた出張ふれ健には、宮本鐡雄さん(76)ら音健士3人が登場した。「昨年まではひろば職員のお手伝いだったが、今回は企画から全て考えた」と、スポーツボイスだけでなく、通信カラオケ機器を使った認知症予防体操や歌、小物まで手作りしたゲームなど、盛りだくさんのプログラムを行った。
「住民主体の自主グループの発足は理想的で、地域をリードしていく活動は、想像以上」と市福祉計画課職員ら。宮本さんも「市内には42人の音健士がいるが、横のつながりがない。来年にはネットワークをつくりたい」と意気込んでいる。

今井公民館での体験レッスンは1月9日午前9時半、参加費500円。
(上條香代)

投稿者: mgpress