バーの街に新風酒と手打ちそば 「SO BAR 保科」来月オープン

松本ならではの店 最後の挑戦
保科昌幸さん 「SO BAR保科」・松本市

手打ちそばを提供する本格バー「SO BAR(ソーバー)保科」が1月2日、松本市深志1にオープンする。同市大手4で15年間、「バーウォータールー」を営業してきたバーテンダーの保科昌幸さん(45)が12月29日で店を閉め、「これまでにない店を」と、温めてきたアイデアを実現する。
もともとそばが好物で県内外の有名店を食べ歩いた。趣味のつもりで打ってみたところ、シンプルだからこその奥深さに引き込まれた。市内では本格手打ちそばを夜遅くに食べられる店がないと、バーの客から言われる。外国人観光客が増え、日本文化をバーで表現してみるのも面白いかと、思うように。「バーの街」として知られる松本。新風を吹き込む店を目指し、挑戦が始まる。

不安と期待と

「バーウォータールー」のほの暗い店内で、オーナーバーテンダーの保科昌幸さんがシェーカーを振る。旬のフルーツをふんだんに使った「フルーツカクテル」が看板メニュー。この保科さんが和風バー「SO BAR(ソーバー)保科」をオープンする。
「実はとても不安。でも、今まで温めてきたアイデアを一気に出すのでわくわく感はあります」と保科さん。新店舗の内装は和風。そばを打つ部屋を設け、酒類を置く場所には実家の欄間を取り付けた。これまでスーツと蝶(ちょう)ネクタイだった仕事着を作務衣(さむえ)に着替え、シェーカーを振る。
新店舗は手打ちそばのほか、保科さんがスパイスの調合からつくるカレーも提供。ランチ営業も行い、スイーツやコーヒーも。それぞれこだわって選んだ。本格バーと気軽な食事。このようなスタイルが始まることに驚きと新鮮さを感じる。

そばの奥深さ

シェーカーを振るバーテンダーの姿に憧れ、生まれ育った塩尻市片丘を出て、20代は東京のバーで働いた。30歳で松本に戻り、「バーウォータールー」を開いた。当時、松本市内では次々にバーが開店。「バーの街・松本」と呼ばれることも誇りだった。
次第に遠方からの客も多くなり、「そばが食べたい」という声を聞くようになる。また、ここ3年は急激に外国人観光客が増加。日本酒や焼酎が飲みたいと言われたが、置いていない。「お客さんのニーズに応える、まったく新しいバーをやってみようか」と心が動き始めた。
知人に教わり2年ほど前に初めてそば打ちを体験。3日でできるようになったが、その先が難しかった。そば粉の産地や水、打つ際の湿度などで違う仕上がりになる。「打つほどに面白くなり、お客さんに出したくなった」という。
新店舗開店を目指し、昨年12月から1年間、昼間は松本市の「野麦」などでそば打ちを修業。打っては試食、打っては試食の繰り返しで行き着いたそばは、信州産100%のそば粉9割の九一そば。つゆは甘みが少なめの辛づゆ。酒を飲んだ後でもさっぱりと食べられると、そば職人にも“お墨付き”をもらった。

ランチ営業も

「年齢的にも新しいことに挑戦する最後のチャンス」と、以前のバーは厨房(ちゅうぼう)設備がなかったこともあり、店を移転しての新装開店。ゆったりと空間を取り、カウンターとテーブルで13席にした。
昼夜営業には理由がある。バーに対する「敷居」を下げ、夜は外出できないが、ランチでカクテルを飲みたい主婦や、酒を飲めない人にも食事で利用してもらうことでバーの裾野を広げたいという。
料理を提供するのは初めてなので「なるべくお待たせしないように頑張ります。温かく見守ってもらえたらうれしい」。走り出しながら細部は研究、手直ししていきたいという。「答えのない世界はバーも手打ちそばも同じ」と保科さん。“信州そば”と“バーの街・松本”の融合で、バーテンダーの集大成に挑む。

【SOBAR(ソーバー)保科】
松本市深志1―4―11窪田ビル2階。午前11時~午後2時半、5時半~翌午前0時。定休日未定。電話34・8488

(井出順子)

投稿者: mgpress