節目の年 挑戦続ける決意 文学座「女の一生」出演 塩尻出身の中原三桜里さん

杉村春子さんの名演で知られる劇団文学座(東京都新宿区)の代表作「女の一生」(森本薫原作)。1945(昭和20)年4月の初演以来、1400回を超えて上演されている。その2018年公演(鵜山仁演出補)に、塩尻市出身の中原三桜里(さおり)さん(24)が出演し、全国の1都11県で公演を果たした。
“演劇の東大”とも言われ、樹木希林さんや桃井かおりさんら個性派女優を世に送り出した同劇団の付属演劇研究所で学び3年。2月に研究生から準座員に進む選考があり、大きな節目を迎える。
高校時代の演劇部がきっかけでこの世界へ。一度は諦めた道だが「やりたいことを納得するまで続けたい」と再び挑戦した。準座員への道は狭き門だが、どんな形でも演劇を続けたいと語る中原さんに新年の決意を聞いた。

中原三桜里さん 文学座研究生
「感動した」と言われる作品に

難しく大事な役抜てきされ全力

─文学座での活動は。
文学座付属演劇研究所には、本科(1年)、研修科(2年)があり、今は研修科2年です。本科の時は週に6回、授業を受けましたが今は決まった授業はほとんどなく、年4回の発表会に向けて稽古します。アルバイトと両立しています。
文学座は養成所が充実しているし、歴史に基づく作品を多く上演するので選びました。本科から研修科、準座員へと進むにはその都度、査定があり最初は30人だったのが3人ほどになります。
─出演した「女の一生」は文学座の代表作ですね。
明治末期から昭和20年までの激動の時代に翻弄(ほんろう)されつつ強く生きた女性の物語。山本郁子さん演じる主人公「布引けい」の娘「知栄(ちえ)」役です。両親が不仲で寂しい気持ちを抱いて育ち、母親をなじって家を出て行きます。主人公の気持ちが大きく動く場面で、難しく大事な役割でした。
これまで70年余りにわたって上演されている作品で、何回も見ている常連客が多く、他の人と比べられるのが怖かった。でも、私はこの作品が好きで文学座を目指した。そこに抜てきされプロの役者と同じ舞台を踏めるので、全力で取り組みました。

納得するまでやってみよう

─演劇を目指したきっかけは。
松本蟻ケ崎高校に入学し、演劇部の新入生歓迎公演を見ました。野田秀樹さんの「赤鬼」を顧問の先生が再演出したのですが、これがとても面白くて入部しました。
稽古は楽しくて、最初は役になりきれたようなつもりでいましたが、ある時先生に「演劇は終わりがない、とても奥の深い世界なんだ」と言われ、価値観が変わりました。表現の奥深さを考え追求するようになりました。
就職、演劇のどちらにも進めるよう早稲田大学文学部に進みました。1年生の時に友人と劇団を立ち上げましたが解散。演劇活動の先が見えなくなって、芝居の世界から離れました。
在学中は教員を目指しましたがやはり演劇が忘れられなかった。両親には反対されましたが、自分が納得するまでやってみようと、4年生の時に、夜学で文学座の本科に通い始めて今に至ります。
─出演作は才女役で「お嬢様を演じさせたら右に出る人はいない」とも言われているそうですが。
そう言われるのはうれしいし(笑)、イメージの一つとして大切にしていきたいです。
私は一人っ子で、内向的な性格。普段は心でぶつかり合うようなことは逃げていますが、演劇ではその場その場で出る感情を思い切り演じ、いつの間にか相手と深く関わっている。役者として幸せを感じる時です。
今後は、下町の女性や芸者、賄いのおばさん、手を真っ黒にして働いているような女性も演じていきたいです。
─今年はどんな年にしたいですか。
25~27日に研修科の卒業発表会があり「ロミオとジュリエット」を上演します。2チームのダブルキャストで行いますが、私はそれぞれのチームで別々の役で出演することになりました。力みすぎずも悔いを残さないよう稽古を大切にし、次につながる何かを見つけられたらと思います。
準座員に選ばれるかどうか2月中に決まりますが、文学座に残れなくても演劇は続けます。どこかの事務所に入るか、オーディションを受けるか─。私の目的は観客に「感動した」と言ってもらえるような作品に一つでも多く出演すること。目の前のチャンスを大切にしていきたいです。

【文学座付属演劇研究所2018年度研修科56期卒業発表会】
25日午後6時半、26日午後1時半、6時半、27日午後1時半、東京都新宿区信濃町の文学座アトリエ。入場料1000円(要予約、全席自由、当日精算)。予約受け付けは13日午前11時から。文学座℡03・3351・7265

(井出順子)

投稿者: mgpress