前回に続き、スケジュール・カレンダーなどを使う「見通し支援」についてもう少しお話しします。
スケジュール・カレンダーは自閉特性がある人の支援として最も有名ですが、実際は生活の中に浸透していないことも結構あります。「保育園ではスケジュールを見せてもらっていたけど、もうなくても大丈夫になった」とか、「使ってみたけど、ちょっとでも予定が変わるとパニックになることが多くてかえって大変」とか、「作るのが面倒」「口で説明すれば分かる子だから」など、使わなくても“何とかなる”と判断されることも多いです。
例えば、自閉スペクトラムの人の特徴としていわれる「こだわりが強い」「新しいことや変化に弱い」「学校活動に参加できない」などは、見通しが持てなくて不安なことからきていることも多く、見通し支援をしっかりすることで、柔軟性が持てるようになったり、初めてのことや自信のないことでも参加しようという意欲が湧くようになったりと暮らしが楽になります。
また、学年が上がって自分で予定を立てるようになってから急にスケジュールを使いこなすことは難しいので、低年齢のうちからスケジュールを生活の中に定着しておくとスムーズです。
自閉の特性が少しでもある方は、だまされたと思って、まずはカレンダー・スケジュール支援をしっかり生活の中に入れることをお勧めします。
見通し支援はあくまでも本人の不安を減らして、納得と安心を増やし、自立して自由に行動するために行うもので、大人の指示に従わせるためでも、嫌なことを避けずにやらせるためのものでもありません。ここを勘違いすると、スケジュールを提示されること自体に拒否的になってしまいます。
見通しが持てても、やっぱりやりたくないことは拒否や交渉、相談ができるようなスケジュールでよいのです。
【なないろキッズ】 #13 不安減らす見通し支援に
- 2019/01/15
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ