シニア・障害者の救急医療情報キット 緊急時に役立つ備えを

年一回見直し最新情報に

「救急医療情報キット」を知っていますか?一人暮らしの高齢者らが救急車などで運ばれるときに備え、必要となる医療情報や連絡先を記入した用紙を容器に入れて、冷蔵庫内に保管しておくシステムです。米国での取り組みを参考に、日本では2008年に東京都港区が始めたのを皮切りに導入が進み、対象者にキットを配布している自治体などもあります。11年度から導入した松本市高齢福祉課と、実際に備えている市民に話を聞きました。
-松本市の配布対象は
▽65歳以上の一人暮らし高齢者▽寝たきり状態または認知症の人がいる65歳以上の高齢者のみの世帯▽重度障害者で一人暮らし、または障害者のみの世帯▽災害時等要援護者登録制度の登録者|に該当する市民で、配布を希望する人。本人のほか、家族や民生児童委員による代理申請もできます。
-配布数や活用の現状は
配布対象となる市民は延べ約3万2000人想定で、17年度末までに約8000人に配布(紛失などによる再配布を含む)しました。民生児童委員による声掛けや、医療福祉関係団体などの協力を得ながら周知に努めています。
冷蔵庫の扉の外側にキットの存在を示すシールが張ってあれば、駆け付けた救急隊員らは本人や家族の同意がなくてもキットを取り出し、救命活動に役立てます。
-専用ケースに入れるものは
(1)氏名や生年月日、既往歴や治療中の病気、親族など緊急時の連絡先、かかりつけ医療機関などを記入した専用の「救急情報カード」(ケースと同時配布)(2)本人のみの顔写真(3)健康保険証の写し(4)かかりつけ医療機関の診察券の写し(5)お薬手帳や薬剤情報提供書の写し|です。
松本市の場合は、台所にある冷蔵庫の扉の内側にケースを保管してもらい、扉外側正面の右上にキット保持を示す専用シールを張るようお願いしています。
-課題は
容器に入れた情報が古いと、万が一の際に活用できません。必ず年に1回は内容を見直し、最新のものに更新してください。
後期高齢者医療被保険者証や国民健康保険被保険者証などが更新された時、薬の変更があった場合は随時見直しを。家族や周囲による情報更新の呼び掛けや手伝いが大切です。高齢福祉課電話0263・34・3214

駆けつけた人に伝わるように―

市内で一人暮らしの女性(91)は、11年からキットを備えています。「救急情報カード」の記載情報の見直しは何度か自分で行い、最近では民生児童委員の声掛けを受けて、昨年8月に近くに暮らす長女(67)と一緒に内容を再確認し、治療中の病気やかかりつけ医療機関の情報を追加、修正しました。
長女は「母は認知症の症状も出始めています。私の留守中に緊急事態が起きた時、本人に意識があったとしても、駆け付けた人に正しい情報を答えられるか分かりません。そんな時にキット内の情報が役立てばと思っています」と言います。
他にも「日常的に近所付き合いがあるので、いざというときも心強いけれど、これがあれば一層安心できます」(女性、74)、「高齢の1人暮らしだけでなく、1人住まいなら年齢に関係なく備えておく必要があると思います」(男性、88)などの声がありました。

(青木尚美)


投稿者: mgpress