80年前の元日新聞 高美書店松本地方9紙保管一部を公開

松本市中央2の高美書店は、1939(昭和14)年元日に発行された松本地方の新聞9紙を保管し、一部を公開している。いずれの紙面も37年に始まった日中戦争の激化で戦時色が濃いが、華やかな昭和モダンの残光もうかがわせ、ちょうど80年前の世相や市民の息遣いが伝わってくる。

濃い戦時色昭和モダンの華やかさも

9紙は日刊の信濃毎日新聞、信濃民報、信濃日報、松本毎日新聞、松本新聞、信濃日日新聞、夕刊の信濃中央新聞、商工新聞、月刊の良民良兵。信濃毎日と信濃日日は本社が長野市で、ほか7紙は松本市内に本社があった。
各紙とも1面に「祈武運長久」「聖戦第三年」などの見出しが躍り、各社の社長や県知事らの「年頭の辞」に松本歩兵第五十連隊の司令官が加わるなど、戦意高揚の色合いが強い。戦傷で帰郷した軍人に、戦地で迎えた前年の正月の様子を聞いた記事は「お年玉は敵軍の迫撃砲弾」の見出しが付く。
松本新聞は「松本南北花柳の花形」と題し、芸者48人の顔写真を掲載。「戦地の皆様へ」とし、「(女性は)戦争には行かれないが、銃後を守って質素倹約に努める」という趣旨の文章を載せている。
9紙すべてに、8代目店主の高美正浩さん(75)の祖父で同店5代目の實五郎さんの名刺広告が掲載されており、元日の新聞は、この年の分だけがまとめて残っていたという。
これらの新聞はその後、戦時の用紙制限や国家総動員法による統制で廃刊を命じられるなどし、信濃毎日新聞を除いて姿を消す。
高美さんは「松本でこれだけ多くの新聞が発行されていたと知り驚いた。今と違い、当時の市民が情報のほとんどを活字から得ていたことを示しているのでは」と話す。
このうち信濃毎日新聞はパネルに入れ、信毎メディアガーデン(中央2)1階エントランスホールで26日まで開催中の、全国の地方新聞43紙の元日付朝刊が読めるコーナーに展示している。

(山岡史明)

投稿者: mgpress