葬祭業のニシマが新規事業「遺品整理」 遺族に寄り添い後押し

高齢者だけの世帯や1人暮らしが増え、子どもの数も減っている中、遺品をどう片付けるかは悩ましい。関心が高まる遺品整理の業務に、葬祭業とギフト卸販売のニシマ(松本市島内)が昨年11月から新たに取り組んでいる。ライフスタイルの変化により、家族だけでは手に負いきれない遺品整理のニーズに応えようという取り組みだ。
同社の西山裕一専務(38)が専門知識を学び「遺品整理士」の資格を取得。「処分と整理は違う」といい、単純に捨てるのではない。故人や家族の思いを大切にしながら、残したいものは残し、売れるものは売り、リサイクルにも出す。「捨てたいけど、捨てられない」という気持ちを後押しするなど、物だけでなく、心の遺品整理にも一役買いたい考えだ。

ニシマ  遺品整理部門を立ち上げ

心の断捨離して前へ

葬儀の先の悩みに焦点

「ニシマ」は、葬祭業を営む中で、「家のごみを分別するだけでも大変」といった声を聞いてきた。故人の持ち物を整理するために「若夫婦が毎週末を利用して故人宅に通ったり、残った妻が1人で行ったりでは、何年かかるか分からない。逆に体調を崩してしまうケースもあるのではないか」と懸念する中で、遺品整理部門「メモリアルライフ信州」を立ち上げることにした。古物商の許可も得た。
「お年寄りは物を捨てられない人が多い。物の断捨離より、残った人の心の断捨離が必要。それをやらないと先に進まない」と、遺品整理士の西山裕一さん。第三者が入って、「これはもう捨てましょう」と背中を押さないとなかなか踏ん切りが付かず、片付かないまま家を放置すると、空き家につながる。きれいに片付けることで、家なり物なりの新しい活用法が見えてくるという。
依頼を受けると、遺族からヒアリングを行い、売れる物、リサイクルする物、捨てる物、思い入れがあり残したい物の4つに分類。何度かやりとりをしながら、さらに細かく分類する。
仏壇などを捨てる際には供養をしたり、貴金属、古美術などは協力してくれるプロに橋渡しをして売ったり、衣類やおもちゃなどは発展途上国の支援物資に回したりと、それぞれの有効利用を探る。スマートフォンやパソコンのデジタル遺品は、故人のプライバシーを守りつつ整理していくという。「預金通帳を探して」といった依頼もあるといい、遺品を整理することで「引き継いだ資産をうまく活用する手立てができる」とする。
遺言書やエンディングノートが広がりつつある今、「後で家族に片付けてもらうのでは迷惑をかけると、生前整理をする人も増えている」と西山さん。「葬儀だけでなく、その先に控えている困り事にも対応、解決していきたい」と力を込める。

どれだけ大変なのか、実際に「遺品整理」をした人に話を聞いた。
父が亡くなった後、家1軒分の整理をしたという松村健太郎さん(52、松本市会田)。使えそうな食器などは残したが、家電、布団、ダンボール、古新聞などを軽トラックで40台分、2年ほどかけて片付けた。
最初は、更地にしようと家屋解体と片付けを業者に依頼したら、300万円と言われ、二の足を踏んだ。ごみ処分回収業者に頼もうともしたが、「残す、捨てるの分別を伝えると、嫌がる業者もいる。分けずに全部持って行かれるのが嫌だった」と、妻の京子さん(49)と2人で整理することに。「途中、やめようと思ったことも少なくない」と振り返る。
開かずの間だった部屋も活用できるようになり、古い家は昨年4月、カフェに生まれ変わった。
少子高齢化が進み、さらに遺品整理の需要は増えそうだ。

遺品整理の料金は1Kで4万円~。メモリアルライフ信州電話92・6436
(八代けい子)

投稿者: mgpress