還暦すぎて海外へ撮影行

登山で鍛えた脚でシャッター

笠原正行さん
野生動物写真愛好家

アフリカの水辺で水浴びするイボイノシシの群れ、楽しそうに走り回るカワイノシシの子ども…。
野生動物写真愛好家として各地で撮影する笠原正行さん(78、松本市浅間温泉1)の作品だ。今年のえとにちなみ、イノシシの写真をパソコンのモニターに映し出してくれた。
歯科医師として働く傍ら、国内外で登山に取り組んできた笠原さん。その健脚を生かし、60歳を過ぎてから1人で野生動物の撮影に飛び回り、撮影旅行は50回を超える。撮影した動物もイノシシをはじめライオン、チーター、ゴリラ、キリン、マンドリルなど多彩だ。
今年の抱負は「マレーシアとアマゾンで、まだ撮ったことがない動物を写真に収めること」。歯科医師を引退して新たな夢に向かう姿勢は、まさに猪突(ちょとつ)猛進だ。

笠原正行さんが野生動物の写真を撮るようになったきっかけは、16年前に旅行で訪れたアフリカ東部のビクトリア湖だ。周辺は野生動物の宝庫。ここで笠原さんは、目の前を横切るゾウの群れを見て衝撃を受け、撮影旅行を始めた。
野生動物を撮影できるパックツアーなどを利用し、アフリカに21回、南米に15回足を運び、オーストラリアやニュージーランドへも。欧米人の客に交じってさまざまな国に出掛け、そこでしか出会えない野生動物の姿を捉えてきた。
イノシシは東南アジアやアフリカなどに生息し、撮影のチャンスは比較的多い。モリイノシシやカワイノシシといった種類のほか、親を亡くし、アフリカのホテルで飼われていたイノシシにカメラを向けたことも。
インドネシアのスラウェシ島に生息するクロザルも印象に残っている。「けんかをしないサル」といわれ、お互いの顔を見つめ合い、表情でコミュニケーションし、物事を解決するという。「人間も見習ってほしい」と笠原さん。
また、アフリカのボツワナでは、若いリーダーに群れを追われ、1頭でたたずむ老ライオンの姿を捉えた。「野生で生きる厳しさを感じた」と言う。
一番苦労したのは、南極大陸に行った77歳の時のこと。飛行機と船で到着までに30時間以上かかった。
機材のトラブルに備え、カメラを常に2台持ち、蛇がネズミをのみ込んだり、ワニが魚を丸のみしたりといった瞬間を捉えることができた。
軽いフットワークの源は登山だ。大学時代はワンダーフォーゲル部に所属し、全国の山を歩いた。50歳の頃から休みを使って県内外の山に妻と登り、作家・深田久弥の「日本百名山」で紹介された100座を登破。ニュージーランドでのトレッキングやキリマンジャロ、ヨーロッパアルプスなど世界の山々にも挑んできた。

自宅にはプロジェクターも用意し、自分が撮影した動物たちの写真をスライドショーに編集し、友人たちに見てもらうのが大きな楽しみという笠原さん。イヌ科のタテガミオオカミを、ブラジルで撮影したいという目標もある。「いつか写真をまとめて本を出すのが夢」とほほ笑んだ。

(渡辺織恵)

投稿者: mgpress