畳へりの模様にリンゴなど特産品 堀内畳店がオリジナル発売

堀内秀一郎さん
堀内畳店4代目・安曇野市

空気浄化や、湿度調節など、さまざまな効果があるとされる畳だが、へりの模様も注目!堀内畳店(安曇野市明科)4代目で、畳製作一級技能士の堀内秀一郎さん(42)は、畳だけではなくへりに強いこだわりを持つ。昨年末、リンゴやブドウ、ワサビといった安曇野の特産品をデザインしたオリジナルの畳へり「ジノモノ」シリーズを作った。
「畳へり道楽」だったという祖父の元茂さん(故人)の影響も大きく、家には500種以上の在庫がある。ライフスタイルの変化で畳の需要は減っているものの、へりは手芸材料としても注目を集めていて、切り売りもする。将来は、元茂さんが残した貴重な畳へり、畳の製作工程などを展示する資料館をと、夢が膨らむ。

伝統の中にモダンさ醸す

広く使われるデザイン追求

オリジナルデザイン「ジノモノ」は、リンゴの赤と緑、ブドウの紫と緑、ワサビの5種。堀内秀一郎さんがリンゴジュースを飲んでいた時に、「畳へりの種類は多いのに、どうしてリンゴのへりはないんだろう?」という疑問を抱いたのが、オリジナル商品開発の原動力になった。
リンゴを手始めに、当初はリアルさを追求したが、広くいろいろな人に使ってほしいと、品種を特定されないようにデザインすることに。へりの幅は約10センチだが、畳として仕上げると、見える部分は半分以下になるということもあり、特徴を強調しつつ可能な限り簡略化しようと煮詰めていった。岡山県倉敷市のへりのメーカーと10回近く修正を重ね、仕上げたという。
「子どもっぽくならないようにした。手芸用にという思いもあり、地模様とのバランス、配置に気を使った」。赤の地色のリンゴは目に鮮やか。紫や緑の地のへりは、古典的な地模様の中に、モダンさが漂う。

堀内畳店は1919(大正8)年創業。100年続く老舗だ。2代目の元茂さんは、寺社仏閣に畳を納め、畳職人として初めて「信州の名工」に選ばれるなど高い技術を持っていた。寺社仏閣に必要な特殊な畳へりだけでなく、メーカーの新商品をあちこちから取り寄せたり、京都まで出向いていって仕入れたりなどしていた。今も藍色の久留米絣(がすり)のへり、一般家庭では使われない高麗紋のへりなど500種以上が残る。現在では手に入らない貴重な物も多いという。
今回のオリジナル畳へり製作の際にも、過去のパターン、模様の間隔、大きさなどを研究した。「デザインする上で、とても勉強になった」と堀内さんは話す。

伝統守りつつ新市場開拓へ

一般住宅で畳の部屋は少なくなりつつあるが、フローリングの一画に畳スペースを設けるなど、畳の良さは再認識されつつある。へりも伝統的な柄だけではなく、洋風なデザインやキャラクターをあしらったものなど多様化し、軽くて丈夫、カラフル、かわいいことなどから、手芸材料としても注目されている。
堀内さんは技術や文化などを受け継ぎつつも、新たな市場開拓も続ける。「ジノモノ」も含めた一部の切り売りにも対応し、カードケースなどを作りイベントで販売している。今後は、カードケース制作用のキットを作ったり、ゴルフのパターや登山用ピッケルのケースなど新しい商品を開発していく計画で、販売スペースも確保したい考えだ。「へりをどのように手芸に使ったのか、完成した物を見せてほしい。商品開発など、使う人と一緒に探っていきたい」と話す。
そこには、元茂さんが残したものも展示するつもりだ。寺社仏閣に納める畳の手順が分かるように作業を途中でやめた物や、寝殿造りなどに見られる座具、茵(しとね)、手縫いのための古い道具などがある。古いものと新しいものを大事にし、老舗としての挑戦を続ける。
同店電話62・3057
(八代けい子)

投稿者: mgpress