【なないろキッズ】 #14 論理的な説明で納得

Aちゃんは4歳の女の子。自閉スペクトラムの傾向があります。
ある日、とてもかわいがって大切にしているお人形のナナちゃんの髪の毛を持って、ぶらぶらさせながら歩いていました。お母さんが「髪の毛を持つのはやめなさい」と言ってもきかず、「髪の毛を引っ張ったら、ナナちゃんが『痛い痛い』っていってるよ」と言うと、「大丈夫。これお人形だから痛くないよ」とけろっとして答えました。
そこでお母さんは、「髪の毛をぶらぶらさせてると、毛が抜けてはげちゃうよ」と言いました。するとAちゃんは、「あ、そうだね」と納得し、すぐに髪の毛を持つのをやめて胴体を抱えました。
Aちゃんは、ナナちゃんを妹のようにかわいがって大切にしていますが、人形であることを知っています。なのでお母さんが擬人化して「痛い痛いといっている」なんて言っても、それは事実でないと知っているのでピンときません。でも、「髪の毛が抜ける」と言われたら、大切なお人形の髪の毛が抜けてしまうのは嫌なので、すぐに髪の毛を持つことをやめようと思いました。
自閉タイプの人は、情緒的な発想よりも論理的な発想をしやすい傾向があります。幼児だと思って妙に擬人化して伝えるよりも、具体的な事実を伝えるほうが伝わりやすいことも多いです。
また、ルールだからと押し付けるよりも、理由や意義を丁寧に説明する方が納得できやすいです。こうした子どもの思考パターンを知っていくと、親子のコミュニケーションも取りやすくなるかもしれません。