松本大廣田教授に聞く「ベジタブルファースト」

食事をする際の順番として野菜を最初に食べる「ベジタブルファースト」(ベジファースト)という言葉を最近よく耳にする。ご飯と一緒に肉や魚などのおかずを一気にかき込む記者にとっては何とも味気ないが、血糖値の上昇を緩やかにして、肥満や糖尿病を防ぐなどメリットが多いだけに、体のことを考えると気になる。松本大学(松本市新村)大学院健康科学研究科の廣田直子教授(66)に、良さや注意点などを聞いた。

糖尿病や肥満予防に「順序効果」

-ベジファーストは体にとって何が良いのか
一般的に肥満や、糖尿病およびその予備軍の人にとって野菜を先に食べる「順序効果」の研究成果は出ている。あまり太りたくない、体重のコントロールをしたい人にも良い。
その理由の一番は食べ過ぎを防ぐこと。太っている人は、食事のスピードも速いというデータがある。野菜はよくかまなければならず、その後のおかずなどを一気に食べてしまうのを防ぐ。結果、全体の食事量をコントロールできる。
-ベジファーストにすると「急激な血糖値の上昇を防ぐ」と聞くが
急激な血糖値の上昇は、血管を傷付け、動脈硬化が進みやすいともいわれている。
野菜を先に食べる人と、ご飯を先に食べる人の血糖値の上がり具合を観察したデータがあり、結果は野菜を先に食べた方が、上がり方は緩やかだった。
理由は、野菜に含まれる食物繊維が影響している。野菜を先に食べると消化、吸収がゆっくりになり、血中に出てくるグルコース(ブドウ糖)の出方もゆっくりになる。それによって糖を脂肪に変えるインスリンの分泌量が抑えられる。
-一度にどのくらいの量を食べればいいのか
1日の野菜の総摂取量の目標を350グラムとした場合、1食にすると約120グラム。主菜や汁物にも野菜は使われるので、最初に食べる野菜の量はその3分の1から半分くらいがいいのでは。
-生野菜の方がいいのか
よくかむという点からすれば生の方がいい。血糖値コントロールの観点では、油があると胃の中の滞留時間が長くなるので、炒め物もいいのでは。
ただし、生で食べる場合は、使うドレッシングに気を付けて。ノンオイルでカロリーは低くても、糖質が多く入っている物もある。
-理想的な食事の順番は
糖尿病や肥満予防の観点では、野菜から始め、肉や魚、卵などのタンパク質、ご飯の順に食べるのが理論的にはいい。
しかし、日本には昔から、ご飯とみそ汁とおかずを順序よく食べる「三角食べ」という方法がある。ご飯には甘みはあるが塩味などがなく、おかずと一緒に食べて「口中調味」をする文化だ。
食べる順番は、食事がその人にとってどういう位置付けかで考えればよいのでは。「健康維持がとても大事」と思う人は野菜を最初に食べればいいし、「食事は楽しく、豊かに食べたい」という人は順番にあまりとらわれず、ゆっくりと、バランス良く食べればいいと思う。
-気を付けることは
高齢者を中心に心身の機能が低下する「フレイル(虚弱)」の人には、ベジファーストを勧められない。なぜなら、こうした人が野菜から食べると途中でおなかがいっぱいになってしまい、一番取るべきタンパク質などが十分に食べられないから。全ての人にベジファーストが良いわけではないことを知っておいて。

廣田教授が薦める理想の食事の一例と食べる順番
【献立】
○主食…ご飯(白米を雑穀米などに代えると食物繊維が多くなる)
○汁物…小松菜、エノキダケ、油揚げのみそ汁(油揚げを多くしてタンパク質を豊富に)
○主菜…生サケのホイル蒸し(ニンジン、キャベツ、シメジを一緒に蒸して温野菜を摂取)
○副菜1…ブロッコリーとキャベツの炒め物(野菜のしゃきしゃき感を残して、よくかむように)
○副菜2…レタス、カイワレ、ミニトマトのサラダ(サラダ油、酢、塩、こしょうを混ぜたフレンチドレッシングで)
【食べる順番】
ベジファーストを意識するなら、①サラダ②炒め物③ホイル蒸し④みそ汁⑤ご飯。
サラダを食べ終えたら、ゆっくりと「三角食べ」をするとおいしく食べられるのでは-。
(浜秋彦)

投稿者: mgpress