戦争の絵本 子どもたちは

読み聞かせでの「学び」を報告
戸惑いながらも物語に引き込まれ

昨年9月5日付イクトモで、絵本「僕のお嫁さんになってね特攻隊と鉛筆部隊の子供たち」を紹介したところ、「戦争が子どもたちに直接関係していてびっくりしました」「身近な所にも戦争の影響があったんですね」といった感想をもらいました。疎開児童と同世代の子どもたちがどう受け止めるのかを取材したいと思い、読み聞かせボランティアの古川政明さん(79、安曇野市穂高有明)と同市穂高北小学校を訪れました。冬の読書特集、2回目は読み聞かせ会での学び、を報告します。
作品の舞台は太平洋戦争中の松本の浅間温泉。東京都世田谷の代沢国民学校から疎開した児童と、特攻隊員との交流を描いた作品です。親元を離れて見知らぬ土地で生活する様子や、そこで仲良くなった特攻隊員が命を落としていったことが描かれています。
昨年10月、同小6学年を対象に行った「平和教育」の時間に、この本の読み聞かせ会が行われました。
絵をスライドで見せながら読んでいくと、挿絵の激しさや現在との状況の違いに戸惑う様子で子どもたちはザワザワとしていました。疎開児童が両親と別れる場面になると、読み手の古川さんも涙で声を詰まらせ、聞く側も物語に引き込まれていました。
物語が幕を閉じた後、感想発表の時間になっていたのですが、児童たちは感想が言えない様子だったため、グループで話し合う時間を設けました。
10分ほど話し合った後、グループの代表が発表。「死んでしまいそうな危険があったとしても、家族と一緒にいたい」「どうして子どもだけが避難して、大人は逃げなかったんだろう」という声が出ました。家族が離れ離れになることがつらいという意見が多い中で、「特攻隊のお兄さんたちは死ぬことが分かっていたのに、どうしてあんなに優しくできたのだろう」という声も上がりました。「今の考え方と全く違う考え方だったのかな」。戦時下の様子について想像を膨らませることが、新たな学びにつながるようでした。

登場人物に自分重ねて

読み聞かせを終えての感想を聞きました。
●読み手の古川さん
子どもには本質を見抜く力があるんです。平和学習で戦争はよくないと言っても、カリキュラムの一つとしかとらえない可能性があると思います。今回のように実際にあった物語を通して話し合うことで、本気で考えることができる。子どもたちの気持ちを裏切らないように、大人も真剣に伝えることが大事だと思います。
●6年4組の担任 草間信一教諭(48)
私自身が戦争について初めて触れたのは「はだしのゲン」という漫画でした。年齢を重ねるにつれ、感じ方にも変化がありました。教員の立場になり、平和教育は自らの主観に寄らないように伝えることが難しいと感じています。このような機会を通じて、児童たちがそれぞれ何を感じて、何を思うかというのが大事だと思っています。

現在、平和教育として特別な授業は行っていない小学校が多いそうです。伝える側も戦争の体験がない中で、伝え方の難しさがあるようにも感じました。時代背景や生活の豊かさが変化した今、「戦争はいけない」という教え方だけでは伝わりにくいのでしょう。体験談を聞くことも難しくなっていますが、このような絵本に触れることで、歴史的な事実だけではなく、その時を生きていた人に少しでも気持ちを寄せることができるかもしれません。そこで何かを感じ、自ら考えることが大事なのだと思いました。物語の登場人物に自分自身を重ねて、一生懸命思い、考える児童たちの姿がすばらしかったです。
(桜井一恵)

投稿者: mgpress