支援第1弾はこども食堂 「しおじり1%プロジェクト」課題解決へ専門家を派遣

塩尻市には、市内の店で買い物や飲食をすると、その売り上げの一部が市内の市民活動団体の支援に回る仕組みがある。「しおじり1%プロジェクト」で、地元の一般社団法人「信州アルプス大学校」が2017年12月に始めた。
最大の特徴は、集まった寄付金をそのまま団体に贈るのでなく、寄付金を元手に信州アルプス大学校が専門家を派遣し、その団体が抱える課題を共に解決するところにある。
現在は市内12の店や企業が協力している。支援の第1弾はNPO法人「NPOホットライン信州」が市内で運営する「こども食堂しおじり」(事務所・同市大小屋)。スタッフや食材の安定的な確保といった課題を解決するべく、デザイン会社のディレクターが派遣され、さまざまな仕組みを構築中だ。

プロのアイデアで広がる輪

ファン獲得へPRを後押し
「しおじり1%プロジェクト」の支援第1号となった「こども食堂しおじり」。プロジェクトを運営する信州アルプス大学校は課題解決に向け、「エイブルデザイン」松本支社長の渡辺勉さん(56、松本市)を派遣した。渡辺さんと、こども食堂を運営する野口裕子さん(53、上松町)の話し合いが始まったのは昨年10月のことだ。
渡辺さんはデザイン会社のディレクターとして企業の課題解決に長年携わるベテラン。2016年からこども食堂を切り盛りする野口さんの話を聞いて課題を整理し、解決の糸口を探った。
ヒアリングから見えてきたのは活動の周知不足だ。活動内容を知らせる手段は、各地のこども食堂をサポートする「ホットライン信州」のホームページにある「信州こども食堂ネットワーク便り」だけ。一般の人の目に触れることはほとんどなかった。「『運営を手伝いたい、食材を提供したい』と思ってもらうには、こども食堂しおじりのファンになってもらわないと」と渡辺さん。
会議を重ね、ファン獲得の第一歩として2つの試みを企画した。
一つはA4サイズの通信「hotto-ne(ほっとね)」の発行。こども食堂の様子や献立、今後の日程などを載せる。
もう一つは「こども食堂参観日」の実施。じかに体験してもらうことでファンや理解者を増やす狙いで、13日に初回を開く。「運営に関わる全ての人を『チームほっとね』のメンバーにしてネットワークを構築し、組織を強化したい」と言う。
こども食堂しおじりは曜日や場所を変え月2回のペースで開いている。当日は学生や地域住民が手伝うが、核となるのは野口さんを含め3人。日常の事務作業は野口さんが担う。「持続可能な活動にするのが課題」と感じていた野口さんにとって、1%プロジェクトは雲間から差し込む一筋の光だった。渡辺さんの人脈とアイデアで支援の輪が広がり始めている。

無理なく貢献広がりが課題

プロジェクトに参加している企業も喜ぶ。
電化製品販売の森川デンキ(広丘吉田)は、自社製品「オーディオボード」の売り上げの1%を寄付。森川正義社長(56)は「寄付金がどのように使われるのか明確で安心。うちのような小さな店でも地域貢献ができてうれしい」。
中信会館(大門一番町)の中華料理店「龍胆」はランチ(800円)の売り上げ1%を寄付。荻上裕総支配人(47)は「日ごろの仕事が地域貢献になるので無理なくできる。お客さまも少し幸せな気持ちになっていただけるのでは」と話す。
プロジェクトは、社会貢献活動に向ける余力を持ちづらい中小企業や小規模事業者の力を集め、地域を元気にする取り組みだが、参加事業者がなかなか増えないのが悩みだ。17年12月のスタート時から増えたのは1事業者のみ。プロジェクト責任者の吉國明夫さん(70、広丘堅石)は「支援事例を積み重ねることで認知度を上げ、参加店を増やしたい」と力を込める。

こども食堂参観日は13日午後3時、片丘公民館。参加無料、夕食(チキンライス)を食べる人は200円。定員20人。調理、食材提供、記録写真撮影、子どもたちの遊び相手や宿題相手などを体験する。申し込みは11日までにメールhotline@kki.biglobe.ne.jp

【しおじり1%プロジェクト】協賛企業の寄付付き商品・サービスを購入・利用すると、寄付金がプロジェクト事務局に貯蓄され、半年に1回をめどに市民活動支援に充てられる。支援先は公募の上、選考する。
寄付額は売り上げの1%である必要はなく、毎月定額でもいい。こども食堂しおじりへの支援額は10万円。3月に名称を「信州1%プロジェクト」に変更する。

(松尾尚久)

投稿者: mgpress