松本に集い語らう“男たちの居場所”

「男たちの居場所をつくってみました」。
松本市新村の住民有志が、男性だけのサロン「パティオ・にいむら」を立ち上げた。月1回程度、新村地区福祉ひろばを拠点に地域の男性たちが集い、酒ではなく、コーヒーを飲みながら気軽に語らえる場を目指す。
「男ならブラックでしょ」と、コーヒーのうんちくを語りながらひきたての豆をハンドドリップで振る舞うのはサロンの“マスター”こと日詰政男さん(66)だ。高齢化が進む新村地区で、家に閉じこもりがちな男性たちの孤立化を防ごうと、住民組織「あたらしの郷協議会」のいきいき部会長の野口義輝さん(71)と共に奮起する。
「女性に気を使わなくていいので楽。趣味や特技を生かし、みんなでサロンを盛り上げたい」と12日は3回目を開く。

定年後も輝ける場を

男だけの時間 自由気ままに
松本市新村地区の男性たちが開くメンズサロン「パティオ・にいむら」。男性の料理教室などは各地にあるが、地域の男性たちが自ら運営するサロンは市内でも珍しいという。
企画したのは、新村地区の住民組織「あたらしの郷協議会」のいきいき部会の男性メンバーら。「年を取ると、男性は特に出無精になりがち」と部会長の野口義輝さん。仕事に専念してきた男性が定年退職後、急に社会との接点がなくなり、地域になじめず家に閉じこもってしまっているケースが増えているという。
公民館活動でも積極的なのは女性たち。男性の居場所づくりとして考え着いたのがメンズサロンだ。
初回は昨年12月に開き、60~70代の男性約20人が参加した。2回目は2月に開き、松本大の男子学生も飛び入り参加するなど30人以上で盛り上がった。
テーブルの上には、漫画「ゴルゴ13」やスポーツ新聞、20世紀のアイドルスター全集などの雑誌がずらり。参加者は気ままに本を読んだり、青春時代に思いをはせたり、自由なひとときを楽しんだ。
コーヒー好きな“マスター”こと日詰政男さんが毎回、おすすめのコーヒーを紹介し、趣味で集めた60~70年代のフォークソングやオールディーズソングをCDに編集して、BGMに流すのがサロンのお決まり。
2回目のサロンで選んだコーヒーは「キリマンジャロ」。「酸味は強いけど香りが豊か。苦かったら、チョコをちょこっと食べてね」とおやじギャクで笑いを誘った。
初回に参加した山口茂さん(66)は、約50年ぶりに再会したという新村小学校(現・芝沢小)の同級生、腰原直さん(66)と孫の写真を見せ合いながら「お互い、年くったなー」と思い出話に花を咲かせていた。

2月のサロンには、市内の飲食店でギターの弾き語りをしているという新井和男さん(63)がギターを持参し、持ち前の歌声を披露した。「翼をください」「なごり雪」などを一緒に歌い、男声コーラスが会場に響いた。
新村で生まれ育った新井さんは、60歳の定年退職を機に韓国へ語学留学し、昨夏帰国。「懐かしい人にも会えたし、知らない人とも仲良くなれた」といい、「男性だけのサロンは、今までありそうでなかったので新鮮。何より女性に気を使わないのがいいよね」。
お薦めの曲を紹介してもらったという松本大総合経営学部観光ホスピタリティ学科1年生の千野泰聖さん(19)は「人生の先輩の話はためになるし、他の男子学生にもぜひ紹介したい」と話す。

地域づくりの議論の場にも

同協議会によると、新村地区の人口は約3200人余。65歳以上の高齢化率は34%を超える。地区内にある松本大は学生約2000人弱が在籍するが、新村に住む学生はわずかだ。大学との連携や増える空き家問題、これからの地域づくりを真剣に議論する男性たちの姿もあった。
いきいき部会長の野口さんは「新村にはいろんな趣味や特技を持った男性が潜在的に隠れていると思う。サロンをきっかけに外に出てきてもらい、男性がもっと輝ける場をつくりたい」と意気込む。
12日は午後1時半~3時半、参加費は気持ちのワンコイン(100円)制。事務局は新村地区地域づくりセンター電話48・0375

(高山佳晃)

投稿者: mgpress