王滝村8カ月の避難生活終わる

昨年7月8日、集落に通じる唯一の村道が大雨の影響で崩落し、住民9世帯16人が避難生活を送ってきた王滝村の滝越地区。県などが行ってきた道路の復旧工事が完了し、村は15日朝、通行止めと住民への避難指示を解除する。住民はようやく、わが家に帰れることになった。
一時孤立状態となった滝越から県消防防災ヘリコプターで救助された住民は、避難所を経て村中心部の村営住宅や空き家、村の生活支援ハウスで暮らしてきた。その間、村内外の人々の支援を受け、励まし合って帰還の日を待ち続けた。
村の指定管理者として同地区にある飲食施設やキャンプ場を運営する本紙リポーター(34)が、8カ月間に及んだ避難生活と住民の思いを報告する。

帰還の日待ち続け前向きに

滝越地区の住民は16人のうち65歳以上が11人。当初、避難所になった村保健福祉センターでの集団生活は約2週間続き、その間、村民が野菜や食料を差し入れてくれたり、村外からも食料や義援金が届いたりするなど多くの支援を受けた。
昨年7月下旬からは世帯ごとに、村が確保してくれた村営住宅や空き家で暮らした。お年寄りは散歩をしながらごみを拾ったり、村中心部の人たちと交流したり。記者は村の非常勤職員として雇用され、林道の草刈りなどをして生活をつないだ。
この間、車で村中心部から村道(約10キロ)だと20分ほどの滝越へ、1時間45分ほどかかる林道(約27キロ)を通って一時帰宅を計20回行った。「畑の野菜が腐っているのを見て、悔しくて涙が出た」と旅館を営む三浦恵美子さん(57)。
住民が希望した年末年始の一時帰宅は安全上の理由で実現しなかったが、時々帰れることで「わが家がどうなっているか」という当初の心配は徐々に解消。一人一人が現実を受け入れ、前向きに生きるたくましさを培った。
昨年9月に村社会福祉協議会が開いた「福祉と健康の集い」では、区長の三浦悦夫さん(68)ら有志が一時帰宅時に収穫したジャガイモも使い、ガレットを作って販売。村民に味わってもらった。
また、ことし2月の「木曽路氷雪の灯(ひ)祭り」では、記者が施設運営のためにつくった合同会社「Rext滝越」が村の地域おこし協力隊員や若者に呼び掛け、替え歌やダンスを披露。村民に「滝越は元気です」と伝えた。
近づく春とともに滝越に戻れる吉報が届いたが、「帰ったら夏に刈れなかった枯れ草が燃えないように刈ったり、川から取り入れる防火用水の取水口の掃除をしたりなど、やることはたくさんある。ほっとしている間はない」と、三浦恵美子さんの父・幸二さん(82)。生活の復旧はこれからだ。
(倉橋孝四郎)

投稿者: mgpress