日本ペンクラブ メディアガーデンで「平和の日の集い」

日本ペンクラブ(吉岡忍会長)の第35回「平和の日の集い」が2日、信毎メディアガーデン(松本市中央2)で開かれた。若者も参加したくなる内容を、若者と共につくり上げ、講師と参加者が語り合うという新しいスタイル。参加者180人中、10~20代が40人を占めた。作家の浅田次郎さん、作家・詩人のドリアン助川さん、作家のあさのあつこさん、信濃毎日新聞の丸山貢一論説主幹と参加者が語り合った集いについて、コーディネーター、司会を務めたフリーライターの金井奈津子さん(松本市)が報告する。(写真撮影:齋藤芳弘=日本ペンクラブ)

集いの準備会が本格化したのは昨年9月。「平和の永続のために、若者も参加する集いにしたい」というペンクラブの趣旨に賛同して荒井英治郎信州大准教授、有賀久雄松本工業高校教諭、信毎の各部署から4人と丸山論説主幹。ペンクラブ平和委員会から梓澤和幸委員長と私が顔をそろえた。
「若者自身が考えた企画でなければ、若者には届かない」。荒井准教授の言葉に方向性が決まった。「でも、若者が企画に参加してくれるのだろうか」という不安は、次の会議で吹き飛ぶ。
9人もの学生が集まり活発に発言する。「平和系イベントで行きたいと思ったものはない」「『平和』と言われてもピンとこないし、興味ないからポスターにも気づかない」「憲法=とっつきにくい感じなので行かない。敷居が高いし」「壇上と客席(に分かれて)なんてつまらない」
率直すぎる意見に大人側の空気が重い。もし大人が「今の若い者は!」的なことを少しでも言ったら終わりだ。司会の私は「そ、そうなんだね~、それでぇ~?」と顔の引きつりを感じつつ先を促す。若者が参加したい企画にするには、彼らに教えを乞い、「現実」を受け止め、一つずつ解決していくしかない。
大人10人、信大生9人、高校生2人で現地実行委員会を結成。読書会や勉強会も行いながら会議は続く。
「作家さんと話せるなら友達を誘える」「距離が近い同じ目線のところに講師がいたらいい」「雑然とワイワイしている方が楽しそう」。そんな意見が聞こえてきた。
そうした中で、ステージを中央に作って4人の講師に「平和」を題材にスピーチをしてもらい、その後、講師は4つのブースに分かれて内容をより深め、広げる。参加者の質問も受ける。偏りが出ないよう、講師は全ブースを回るという案が決まった。
ペンクラブの会議に諮ると、講師の負担が大きすぎる、混乱したら収拾がつかないなど反対意見も出たが、梓澤委員長は「現状を打ち破るには新しいことをするしかない」と突破した。
ペンの会合で時々お見かけする浅田さん、ドリアンさんに進捗(しんちょく)状況を話すと「面白そう。楽しみ!」と言ってくださるのが支えだった。

当日は満員御礼!会場設営や案内、記録、時間管理とてきぱき働く学生たちは、頼りになる仲間だ。
ドリアンさんは「あなた『個人』にとって、平和とは何か、そこから考えて。そのキーワードはユーモアでは」と語りかけた。丸山さんは「戦争に伴う言論弾圧が人の心にどれほど深い傷を残すか」から平和の尊さを説いた。元自衛官である浅田さんは、安倍首相の自衛隊明記論とは真逆の「専守防衛、海外派兵禁止を明記した上での自衛隊明記論」を語り、あさのさんは「質問に誠実に答えない政治への気持ち悪さや、女性や若者が意見を言うことの難しさと重要性」を語った。
大人用とは別に学生たちが作ったチラシのキャッチコピーは「サイレントマジョリティーになるな」。それを体現するかのように、10歳から24歳までの若者の発言も途切れることはなかった。
「多くの若者は優劣を付けられたくないから意見を言わない。でも『若者ならでは』の疑問が役立つこともある。声を上げて、平和や政治を語り合おうと思うきっかけになった」(19歳女性)
「若者が憲法の話をすると異端視されるのでネットに頼らざるを得なかった。若者でも安心して意見を言えるこういう場がもっと必要と感じた」(19歳女性)
必要なのは大人も同じだ。新しいスタイルの集いは、「声なき多数者」を減らす可能性を見いだすものとなった。

投稿者: mgpress