長野銀行営業統括部 渡辺貴也さんに聞く「リバースモーゲージ」とは


自宅担保に生活資金調達
超高齢社会に向かう中、老後の生活資金を調達するすべとして「リバースモーゲージ」が注目されつつあります。一般的に、高齢者が土地・住宅を担保に生活資金などを借り入れ、死亡時にそれを売却することで一括返済する制度のことですが、聞き慣れない人も多いでしょう。昨年4月、県内の金融機関で初めて取り扱いを始めた長野銀行(本店・松本市)で、商品開発に携わった営業統括部営業企画・チャネル戦略グループ調査役の渡辺貴也さん(40)に概要を聞きました。

-仕組みは
英語でリバースは「逆」、モーゲージは「担保・抵当」。通常の住宅ローンは最初に一括でお金を借りて、毎月返済することで債務額が減っていきますが、リバースモーゲージは自宅に住みながら、自宅を担保にお金を借りるというものです。
契約期間は、1年更新(自動更新)で契約者が亡くなるまでとなります。契約が終了すると、銀行が担保にしていた自宅不動産を売却して現金化し、そのお金で融資を回収する。お金が残った場合は、遺族に返還されるという流れです。
金利は当行の場合、短期プライムレートを基準とする変動金利です。最初から担保による一括返済を前提としているため、契約期間中の返済は任意。通常は利息のみのお支払いとなります。
当行の場合は、▽申し込み時に満55歳(配偶者は50歳)以上▽年金による収入が120万円以上▽路線価が定められている地域で、本人または配偶者との共有名義の住宅・マンションに住んでいる-などが利用条件です。当行の審査による土地のみの担保評価額の50%以内(200万円~1億円)で借入限度額を設定し、事業資金以外であれば用途は自由です。
マンションの場合は、担保評価額の40%以内で利用できます。

-メリットとリスクは
自宅を手放したり預貯金を減らしたりすることなく、生活資金全般をまかなえる点は大きなメリットでしょう。「老後」の期間が延びる中、蓄えだけで暮らしていくことに不安を抱える人は多いです。
一方で、元金の返済は任意となっているので、元金が減らない場合で長生きすると、利息を払い続ける期間が長くなるため、総支払額は増えます。ただし、最初に借入限度額を決めるため、元金が限度額以上に増えることはありません。
他に予想を上回る不動産価格の下落、金利上昇といったリスクもあります。当行では2年に1度、該当物件の担保評価を行います。担保割れをしている場合は、原則、割れた分を返済して頂きますが、返済方法は契約者と話し合いのうえ決定します。強制的に家や土地を回収することはありません。
利用に際しては、配偶者や子どもなど、契約者が亡くなった場合に相続人となる「推定相続人」の同意が必要です。家や土地を担保にするので、みんなが納得しないと深刻なトラブルにも。事前に家族で十分話し合うことが大切です。
県外では、契約が終了しても推定相続人が家や土地を手放すのはしのびないと、保険金などで返済するケースが案外多いようです。

-利用の現状は
3月初め時点で、20件ほどの利用があります。問い合わせは多いのですが、路線価のある土地が対象ということで、県内ではどうしても利用者が限られてしまいます。そもそもこの制度自体、土地の高い都市部ほど盛んで、地方ではまだ広がりが少ないのが現状です。
ただ、取り扱いを始めてから自治体や住宅会社、社会福祉法人などから説明会を依頼されることが多く、注目度は高い実感があります。地方で問題となっている空き家対策に、予防的に使える可能性もあるからです。問い合わせの多さも含めて予想以上の反響です。
セカンドライフを豊かに過ごすために、考える価値のある選択肢ではないでしょうか。

(長岩将弘)


投稿者: mgpress