安曇野の障害者就労支援事業所 豆腐に知事賞

安曇野市社会福祉協議会が運営する障害者就労支援事業所「すてっぷワークま・めぞん」(同市豊科)の豆腐製造と販売が5月で6年を迎える。
利用者が手作りする「ぎゅぎゅっと濃厚きぬごし豆腐」は、1月の第22回県豆腐品評会(県、県豆腐商工業協同組合主催、出品総数65点)で最優秀賞に次ぐ県知事賞を受賞した。豆腐製造業者らが出品する品評会で、4年連続で入賞。今回は過去最高成績を収めた。
障害者の自立支援に向けて「できるだけ高い工賃を払える事業所に」。模索しながら品質を求め、販路も広げてきた。中信地区の障害者就労支援事業所で豆腐製造を手掛けるのはここだけ。地元産大豆を使って丁寧に手作りした味は評判を呼び、福祉への関心と合わせて年々多くのファンを獲得している。

適性踏まえ作業手順を工夫

安曇野市豊科の「すてっぷワークま・めぞん」は、障害者に就労機会を提供し、知識や能力向上に必要な訓練などを行う「就労継続支援B型事業所」として2013年に開所した。雇用契約は結ばず、利用者は作業の対価を工賃で受け取る。
製造する豆腐は3種類。看板商品の「ぎゅぎゅっと濃厚きぬごし豆腐」は、豆の甘みと滑らかな食感が特徴の逸品だ。原料の大豆は安曇野市産のナカセンナリ100%で、天然にがりを使用。豆腐は日に150~200丁を売り上げる。
現在、事業所の利用者は知的障害者の10人で、得意分野や適性などに応じて製造と販売を分担。両方を担当する人もいる。幅広い仕事はこなせなくても、決まった作業に特化したり、繰り返しの多い作業を行ったりすることで能力を発揮しやすい面もあるという。
「後ろ通ります」「型箱洗います」。製造室ではハキハキとした声が響く。作業は豆乳作り、豆腐作り、器具類の洗浄のセクションに分かれ、真剣な面持ちで働いている。
販売担当は、職員と共に市内や近隣の企業、事業所、公共施設などに出向いて販売する。個人宅への定期宅配にも対応。ま・めぞんの建物内にある直売店でも接客にあたる。
販売が主で製造にも入る二木理恵さん(47)は「県知事賞はみんなで頑張ったから取れた賞。これからも全力で仕事に励みたい」と語り、意欲をにじませた。開所当時から販売を担当する上條允照さん(26)は「当初は緊張して声が出せなかった」が、今では食べ方を紹介しながら朗らかに接客。「おいしいからと買ってもらえることがうれしい。数多く売り、工賃が上がるよう力を合わせていきたい」

豆腐製造に着目したのは、日常的に消費されて継続的な購入が期待でき、地産地消にもつながる観点からだ。
ハンディのある人にとってわかりやすい作業手順にもしてきた。材料の増減が必要になると、豆腐の種類ごとに色分けして分量を大きく紙に書き、作業スペース近くに掲示。任された作業を決まった回数確実に行えるよう、作業を1回終えるたび、回数を把握できる札をめくる動作をルーティーン化する、といった工夫を凝らして製造に励む。
職員が地域の豆腐製造業者に出向き、情報やこつを得ることもあった。設備や労働時間が限られる中での試行錯誤が実を結んだ。県品評会の賞状授与式や、17年に出品した全国品評会の出品豆腐試食会には利用者も職員と出席。受賞の誇りや全国のレベルを身を持って感じ、多くの刺激を持ち帰った。
働く人の意識に変化が見て取れるようにもなった。職員の百瀬正臣さん(34)は「豆腐作りは体力を使う地道な作業。その中にも仕事の楽しさや責任感が芽生え、自ら考えて意欲的に動こうと、背筋がピーンと伸びた姿も見られます」。
ま・めぞんが目指すのは、雇用契約を結んで県の最低賃金以上を支払う就労継続支援A型事業所への移行だ。より高い工賃をという目標は、利用者とも共有しているという。全国のB型事業所の月平均工賃が1万5603円(17年度)という中で、ま・めぞんは、初年度の倍近い3万8667円(同)に達している。
(青木尚美)

【「ま・めぞん」の豆腐】
写真右手前から時計回りに「ぎゅぎゅっと濃厚」の「きぬごし豆腐」(220円)、おからを出さない製法の絹ごし豆腐「まるごと豆腐」(270円)、「豆乳に浸った…おぼろ豆腐」(190円)、「豆乳」(300円)。
ま・めぞん建物内の直売店(平日のみ)、安曇野市社会福祉協議会豊科支所(同)、JAあづみ農産物直売所「安曇野スイス村ハイジの里」で購入できる。出張販売も行う。
ま・めぞん 電話0263・88・8506

投稿者: mgpress