今回も相談スキルの練習について補足します。
相談スキルは、子ども時代に段階的に身に付けていきます。小さいうちは、子どもを飛び越えて大人同士で話を進めがちですが、本人のことを相談する際には、早い段階(内容や発達段階にもよりますが保育園・幼稚園くらい)から本人も巻き込んでいきましょう。
初めの段階では、「○○ちゃんのことについて、お母さんが先生とお話しするね」と事前に告げ、その結果を本人にも伝えるようにします。勝手に先生に話してしまうと、繊細なお子さんは「先生に言ってほしくなかった」と思うこともあります。本人の同意を得て相談し、結果を本人と共有することが大切です。不満や希望を相談することで、相手に分かってもらえ、良い結果になるということをお子さんに実感してもらいます。
次の段階では、本人も一緒に相談する場をつくります。こうした経験を保育園・幼稚園~小学校低学年ぐらいで重ねると、その先に自分で話すという段階(前回の例)にステップアップしていけるのです。
もちろん、時にはせっかく相談しても、思いを受け入れてもらえず嫌な気持ちになることもあるでしょう。そんな時は、お子さんのがっかりした気持ちを支えつつ、次に向けての作戦を一緒に立てるなどして、ネガティブな気持ちを引きずらないようにサポートしましょう。
本人の要求をそのまま受け入れにくい場合も、頭から否定するのではなく、代案を提案したり、先生などから受け入れられない理由を丁寧に伝えてもらったりしましょう。
相手は担任以外にも家族・親戚、習い事の先生など、ある程度、相談スキルの意味を理解・共有できる周囲の大人がお勧めです。協力してもらい、気軽に相談する機会を意識してたくさんつくるとよいでしょう。
【なないろキッズ】 #18 意識して相談する機会を
- 2019/04/09
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ