松本市健康づくり課管理栄養士上條祥水さんに聞く 「低栄養」を予防しよう 要介護リスク高める要因

年だからそんなに食べなくてもいい-。そんなふうに思っていませんか?近年、健康な体を維持するだけの栄養が取れていない高齢者の「低栄養」が社会問題になっています。低栄養は、寝たきりや認知症など要介護のリスクを高める深刻な問題ですが、自分ではなかなか気付けないのが難点。松本市健康づくり課管理栄養士の上條祥水さんに、原因や対策を聞きました。
低栄養とは、生活に必要なエネルギー、タンパク質、ビタミンなどが不足している状態。体重が半年で2~3キロ減り、かつ肥満度を示す体格指数BMIが18・5未満、血清アルブミン値が1デシリットル当たり3・8グラム以下などの数値から気付くことができます=表。高齢者でBMI20以下は「低栄養傾向」とされます。
低栄養になると筋力や筋肉量が落ち、活動量も減ります。そのため転びやすくなったり外出がおっくうになったり。身体機能や運動機能が低下して、生活の質も低下。食欲が落ち、さらに栄養状態が悪くなるという悪循環に陥ります。
骨強度も低下し、骨折しやすくなる。免疫力が落ちるので、病気にかかりやすくなったり治りにくくなったり。こうして介護リスクが高まるのです。
松本市の2016年の調査では、65歳以上の男性の15・3%、女性の25・7%が低栄養傾向でした。

低栄養の背景はさまざまです。加齢とともにかむ力やのみ込む力、消化機能が衰えて食は細くなりがちですし、料理するのも体力的におっくうになってくる。1人暮らしになって食事がおろそかになってしまう人もいます。
メタボリック症候群への予防意識が高まった影響もあり、高齢になっても摂生した食事をしてしまう人も増えていますが、年を取ったら「メタボ予防」から「十分な栄養摂取」への切り替えがとても重要です。
松本市では近年、低栄養予防を内容とした講座を各地区などで実施しています。そこで訴えているのは、食事は1日3回、バランスよく満遍なく食べること。魚、油、肉、牛乳、野菜、海藻、芋、卵、大豆製品、果物の頭文字を取って「さあにぎやか(に)いただく」を合言葉として伝えています。
ポイントはタンパク質の摂取。皆さん驚かれますが、70歳以上の人にも、18~29歳の若者と同じ量のタンパク質が必要なんです。
高齢になるとどうしても肉を敬遠しがちですが、1日の食事で肉と魚の割合は1対1に。牛肉や豚肉が胃に重たければ鶏肉を。ぱさつきがちな胸肉も、片栗粉を付けてゆで、たれをかければ食べやすくなります。
私たちが現在、低栄養予防策として勧めているのが「具だくさんみそ汁」。野菜やキノコ類はもちろん、卵、牛乳、カットワカメ、サバの水煮缶、豚肉、油揚げ、ひき割り納豆などタンパク質を多く含む食材を入れて、みそ汁の栄養価を上げます。
これならおかずを何皿も用意しなくてすみますし、洗い物も減ってうれしい。飲む汁の量が減るため減塩にもなります。一度にたくさん作っておいて、食事ごとに卵を落としたり、のりをかけたりと味を変えて楽しんでみてはいかがでしょう。
そのほか、冷凍食品やレトルト食品、配食サービスなどを活用するのも良いと思います。めんどくさがって食事を抜いたり、間食で済ませたりしてしまうのはよくありません。
何より大事なのは食事を楽しむこと。友人とテーブルを囲んだり地域の会食会に出掛けたりと、会食の機会を積極的に持ってみてはいかがでしょう。心の栄養にもつながります。
(松尾尚久)


投稿者: mgpress