トルコの伝統手芸を知って 安曇野で展示会

トルコの手芸、オヤを知っていますか?イスラム教の国では、女性は髪を覆うスカーフが欠かせない。そのスカーフを彩る縁飾りのことで、色とりどりの糸やビーズで編まれている。安曇野市穂高有明の「ギャラリーレクラン」で29日~5月6日、オヤを中心にした展示会が開かれる。
花をモチーフにしたものが多く、祖母から母へ、娘へと受け継がれてきた。見た目は愛らしいが、そこには女性の怒りや悲しみ、喜びなども込められ、「ものを言う手芸」とも呼ばれているという。
主催は、日本トルコ民間交流協会(東京)。都内在住の石本寛治会長(80)と妻の智恵子さん(79)はトルコと日本の文化を両国で紹介しようと活動。オヤの他にも、刺しゅう、ランプなどさまざまな工芸品を並べ、会場はトルコ一色になる。

母から娘へ「もの言う手芸」
トルコの文化伝える展示会

トルコの手芸オヤを中心にした今回の展示は、石本寛治さん、智恵子さん夫妻の著書「トルコの伝統手芸縁飾り(オヤ)の見本帳」に掲載されたコレクションが基になっている。2016年の出版直後、寛治さんが脳梗塞で倒れ、一時活動は休止。体調回復を受け、「トルコの文化を紹介したい」と、昨年東京で開いた。地方での開催は今回が初めてという。
「かわいくて繊細。野の花をそのまま形にするが、それぞれに意味があるのが奥ゆかしい」と目を細める智恵子さん。草木染した絹のピンクのスカーフに付いた同色のカーネーションのオヤは、若い女性と花嫁用。同じカーネーションでも、黄色は憧れや思慕、時には悲しみの気持ちを表すこともある。赤の唐辛子は夫への怒り、リンゴの花は妊娠したことを報告する、という。トルコの国花、チューリップは、若い女性の熱い思いを男性に伝える手段など、それぞれのモチーフが持つ意味を聞くと興味深い。
同じモチーフでも、アレンジを加えたり、地域によって異なったり。香りを楽しみ、虫よけにもなるクローブを付けたもの、「好色男のヒゲ」などユニークなモチーフもある。
女性たちの髪の毛を覆うスカーフの装飾として発達したとされるオヤ。母から娘に技術が伝えられ種類も多様だ。縫い針1本で、固い結び目を作って編み上げる「イーネオヤ」、かぎ針(トゥー)を使い、くさり編みやこま編み、長編みなどで形を作る「トゥーオヤ」、ビーズ(ボンジュック)のついた「ボンジュックオヤ」など5つの技法に大別されるという。

寛治さんは私立高校の教員時代に1年間、トルコに留学。親日国で、日本人と気質が似ていることに気づいたが、地方に行くと、日本人を見たことがない、会ったことがないという人ばかり。「日本を知ってほしい、日本人にトルコのことを知ってほしい」と1993年、日本トルコ民間交流協会を設立した。
今回の展示は、智恵子さんの祖父が松本出身で、安曇野市に夫妻の別荘がある縁から実現した。智恵子さんは「長野では初めての開催。トルコを知るいい機会になると思う」と話す。
技法やモチーフで分類するなど展示を担当するのは、書籍の編集にも携わったC・R・Kdesign(東京都)の北谷千顕さん。アクセサリーワークショップは、ボンジュックオヤの日本の第一人者と言われる西田碧さん(同)ら3人が担当。日替わりで、ひまわり(中級)、ビーチグラス(初心者)などを教える。現地を撮影した写真展、藤井良行さんによるトルコの弦楽器サズの演奏会もある。
オープニングレセプションは29日午後4~6時。ワークショップは毎日午前10時半~11時半(初心者)、午後2時半~3時半(中、上級者)で、29日~5月1日は午前のみ。要予約。サズの演奏会は29日~5月1日の午後3~4時。
(八代けい子)

投稿者: mgpress