自閉タイプのお子さんの支援の一つとして、声を掛けるよりも、目で見る形式で示す(視覚支援・構造化)方が伝わりやすいことがあり、「手順書」と呼ばれるものを作ることがあります。
例えば、朝起きてから学校に出掛けるまでの支度が、なかなか進まないお子さんがいます。何度も何度も声を掛け、手を引っ張って世話をして支度をさせるよりも、やるべきことを一覧にして、終わったら消去するといったボード=図=を作って見せた方が、自分でやるべきことが分かって一つずつ取り組めてスムーズに進むことがあります。
このやり方は、一般の子育てライフハック(質や効率などを上げるための工夫や取り組み)としても話題になっており、「お支度ボード」で検索すると作り方が出てきます。
「手順書」といわれる見通しを視覚的に示す支援法は応用が広く、(1)日常生活で身に付きにくい動作の手順や、操作の仕方をマニュアル化する(2)初めてのことや、めったにない出来事の先の見通しを示して安心をつくる(3)不安や嫌悪感を抱くような突発的な出来事への対処法をマニュアル化する|といったさまざまな場面で使えます。
口で説明しても伝わらないことが、文字や絵を使い、順を追って説明することで理解が深まることは多く、自分でできることが増えたり、安心して取り組めることが増えたり、パニックになることを減らしたりすることができます。
いつも声を掛けないと動かないお子さん、不安が強く初めてのことや見通しが見えないことは拒否することが多いようなお子さんにはお勧めです。
次回から、それぞれの場面での具体的な「手順書」の使い方について紹介します。
【なないろキッズ】 #19 目で見て伝わる「手順書」
- 2019/04/30
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ