信大生の胃袋 がっつり魅了 松本キャンパス近くの食堂「でんでん」

信州大学松本キャンパス(松本市旭)から徒歩10分ほど、「信大生になったら一度はお世話になる」と言われるほど、学生たちに支持を得ている食堂がある。
その名は「でんでん」(同市元町)。新学年が始まったこの時季は部活やサークル帰りに先輩に連れられてくる新1年生も多く、席数24席の店内は連日、学生で埋め尽くされる。
学生たちが注文するのは、とにかくボリュームたっぷりでリーズナブルな「丼」。鶏の唐揚げ、豚の炒め物などの肉とあふれんばかりのキャベツが、ご飯の上に載る。オーナーの傳田怜時さん(35)が「自分が大食いだったので、学生時代にあったらいいな、と思った店」を実現させた。信大生の胃袋を満たす「でんでん」の魅力と、昨今の信大生の飲食事情を探ってみた。

信大生に人気の「でんでん」 松本市
米2.7合 超大盛をたいらげる

先輩に連れられ 新1年生が来店

4月のある金曜の午後7時、「美味(おい)しい丼と定食屋さんでんでん」の外には学生たちの列。入店を何度も断る店員の姿。信大で新入生向けのサークルガイダンスがあり、先輩に連れられて初めてやってきた1年生を含む学生たちで、店内は満員御礼だった。
ざっと数えても80種はあるメニューのほとんどが丼もの(プラス70円で定食にも変更可)。さらにサイズが通常、特盛、超大盛の3つある。学生にはドリンクもサービス。看板メニューの一つ「2種の鶏唐コンビ丼」特盛(1100円)を頼んだ、繊維学部1年の山本純也さん(18、兵庫県出身)は何とか全部たいらげたが、さすがに苦し気な顔。

弁当にもファン 80食が売り切れ

でんでんは、2010年3月に同市女鳥羽で開店、信大近くに移転して5年がたつ。オーナーの傳田怜時さんは塩尻市出身。東京の専門学校時代に数々の飲食店でアルバイトをするうち、接客の面白さや飲食店経営に目覚め、結婚して長女(9)が生まれたのを契機に松本に戻り、店を開いた。
ご飯がしっかり食べられ、載る具材を選べる丼ものがメインのスタイル。メニューは、味付けを微妙に変えバリエーション豊富な肉系の丼を中心に、カレー、ハンバーグ、うどんなど幅広く、客の要望も取り入れてどんどん増えてきたという。
気になるボリュームは「オリジナル唐揚げ丼」通常サイズ(650円)だと、米1合のご飯に唐揚げ6個、目玉焼きが載り、大人の男性でも十分おなかいっぱいになる量だ。特盛だとご飯だけで2倍、超大盛だと米が2・7合というから圧巻だが、超大盛をたいらげる学生も少なくないという。
使用する食材の量も半端ではない。1日平均で米が45キロ、鶏肉が20キロ、キャベツは5玉、卵150個ほどを使用。できるだけ価格を抑えるために、米は安曇野の知り合いの農家から仕入れ、キャベツは市内のスーパーで安いものを購入するなど、企業努力も欠かさない。
「でんでん」の弁当にもファンは多い。信大西門前で毎日80食ほど、5、6種類の弁当を500円で販売している。特に春は学内の食堂も新入生でごった返すため、混雑を避けたいと弁当に人気が集まる。取材に訪れた日は正午の販売開始から20分で80食が売り切れ、中には留学生や週に2回は買うという常連の学生も。「めっちゃおいしい」「学食よりボリュームがあって満足度が高い」と学生たちは口をそろえる。

落書きノートに感謝の言葉並ぶ

傳田さんが飲食店を始めて10年ほどだが、学生たちの変化にも気付いている。昔に比べ、学生が外食をしなくなった、酒を飲まなくなった、大勢でつるまなくなった、アルバイトが集まらない-というのだ。長引くデフレによる節約志向、アルコール離れ、集団よりも個を大事にする若者-など今どきの学生像が見えてくるようだ。それに加え、信大生協が2015年に導入した、交通系ICカードに親が入金することで学食内で飲食ができる「学食パス」も信大生の7割弱が保持。信大付近の食堂や居酒屋にも多少の影響が出ているのではとの声もある。
それでも「この味が好き」「がっつり食べられる」と、でんでんに足を運ぶ学生は絶え間ない。10冊以上になる店内の落書きノートには、この春卒業した学生から、店への感謝のメッセージがいくつも並んだ。そうした言葉に励まされ、傳田さんは調理や接客に汗を流す。
でんでん電話0263・32・5601
(佐竹伸子)

投稿者: mgpress