上空を彩る壮麗な「環水平アーク」(塩尻市片丘)

塩尻市から見た環水平アーク。氷点下3度の早朝の冷え込みでうなだれた満開の菜の花の上に輝いた=ニコンD5、ニコンEDニッコール17~35ミリ、4月28日午前11時21分

新時代へ虹色の鮮やかな横糸紡ぐ

県内各地で4月28日、直線に近い弧を描くように輝く虹の「環水平アーク」や、太陽を貫く輪が指輪のように見える「幻日環(げんじつかん)」など珍しい大気光学現象が観察された。
塩尻市片丘地区では、これまで記憶が無いほど鮮やかに輝く環水平アークが現れ、太陽を囲む円形の虹「ハロ=日暈(ひがさ)」と共演した。一時、環水平アークから分岐したように見える「下部ラテラルアーク(接線弧)」と思われる虹も出現。神秘的で不思議な光学現象は、昼前後にかけ1時間以上続いた。これらの現象は、雲の氷の粒(氷晶)に太陽光が反射、屈折して起こるとされる。天気が崩れる前兆とも。
さらに気象用語辞典などで調べてみた。環水平アークは太陽高度が地上から58度(仰角)より高いときに現れ、虹色が最も濃く鮮やかになるのは68度前後。観察できる時期と時間は、太陽位置が高くなる3月から9月ごろ。薄雲が広がった昼前後に限り見られる。「幸運が訪れる前触れ」など、吉兆現象とも言われている。
改元間近の平成の空を飾る壮麗な環水平アークを見上げ、令和時代への期待が膨らむ。カメラのファインダーに映る、生まれ育った素朴なふるさとで感じる時の流れに、虹色の鮮やかな横糸を紡ぎながらシャッターを切った。
(丸山祥司)