直腸がん発見から治療まで 相澤病院外科センター笹原医師に聞く

食生活の欧米化に伴い、近年、急激に増えている大腸がん。その中でも直腸がんの割合が年々高まっているという。松本市のイオンモール松本とイオンスタイル松本が、相澤病院外科センター消化管外科統括医長の笹原孝太郎医師(54)を講師に開いた健康講座「増えている直腸がん発見から治療まで」を取材し、要点をまとめた。
運動心掛け食の見直しを

★大腸
消化した食べ物の最後の通り道で、長さは1・5~2メートル余。小腸に続き、右下腹部から始まり、肛門へとつながる。大腸は「結腸」(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と、「直腸」(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)に分けられる=図1。
★直腸がんとは
大腸がんの一種で、直腸にできるがんの総称。もともとは正常な細胞が、何らかの原因でがん細胞に変化する。その変化した細胞が何兆という数に増え、がんとして目に見えるようになる。
がんは、良性のポリープががん化するものと、正常な粘膜が刺激を受けて直接発生するものがある。日本人はS状結腸と直腸にがんができやすいといわれている。
★症状
早期の段階では自覚症状はほとんどない。進行すると▽鮮血に近い血便やゼリー状の粘液を伴う粘血便▽便が細い、形が普段と違う▽残便感▽排便時の痛み▽便秘と下痢の繰り返し|などの症状が見られるが、直腸のどこに、どの程度のがんがあるかによって変わる。
注意したいのは、良性疾患でも、がんと似た症状が出る場合もあること。特に痔と間違うことが多く、強い自覚症状が現れてから医療機関に行き、がんが発見されるケースも少なくない。
大腸の粘膜に発生したがんは、治療をせずに放置すると次第に進行する。大腸の壁に深く侵入(浸潤)して腹腔(ふくくう)内に散らばったり、リンパ液や血液の流れによってほかの臓器に転移したりする。
★検査
症状がない健康な人に行う検診では、自覚症状や既往歴などを確認する問診と、大腸がんやポリープなどによる出血が便に混じっていないかを調べる便潜血検査を行う。進行がんの9割、早期がんの5割が検出可能だが、進行がんでも便潜血が陰性の場合や、痔などがん以外の疾患で陽性になる場合がある。
検査結果で「要精検」となった場合は、大腸内視鏡検査で直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく調べ、がんかどうかの確定診断を行う。必要に応じて注腸造影検査(バリウムと空気を肛門から注入してX線撮影)、CT検査、MRI検査、PET検査などを行い、がんの正確な位置や大きさなどを調べる。
肛門から直腸内に指を差し込み、しこりや異常の有無を調べる直腸指診もある。
★治療
がん治療の原則は、がんを残さずきれいに取り除くこと。がんの進行度合いや全身状態、合併するほかの病気などを考慮して、内視鏡治療、手術、化学療法、放射線治療などの治療方法を総合的に判断する=表。
肛門に近い直腸がんや肛門にできたがんでは、直腸と肛門を一緒に切除し、永久人工肛門(ストーマ)を作ることもある。大腸がんの抗がん剤はこの10年ほどで飛躍的に進歩し、治療効果も高まっている。
★予防
「運動」が大腸がんのリスクを下げる。日常生活で歩く、自転車に乗るなど体を動かす習慣をつくる。
また、食事で食物繊維を取ることも予防につながる。ニンニク、牛乳、カルシウムなどの摂取はお勧め。葉酸、ビタミンD、果物、魚などもリスクを下げるという報告があるが、十分な科学的根拠は確証されていない。
禁煙や節酒、減塩など生活習慣の見直しが、がんのリスクを減らす。大腸がんは早期に発見して適切な治療を受けることで治る可能性が高いので、40歳以上の人は便潜血検査を年に1回は受けてほしい。

(高山佳晃)


投稿者: mgpress